知らないと申請できない!? ものづくり補助金の新基本要件『一般事業主行動計画』とは

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皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としており、行政書士の中でも数少ない認定支援機関として経済産業省から認定されており、加えて、元官僚(制度を作る側)の経歴持っているという、レア度と専門性の純度が極めて高い事務所となります。

設立以降多くの事業者さまからお声がけをいただき、成長する機会に恵まれております。
本当にありがたい限りでございます。

さて、
2024年も残すところ数日となりました。
年内にもう1記事投稿したいと思っていたので間に合って良かった!
よく頑張った自分!!

という、自分で自分を褒めるのはそれくらいにしておいて(笑)

2024年12月18日付けで中小企業庁のHPに補正予算2024に対応したものづくり補助金の概要資料が公表されました。

従来の制度からいくつか変更点が見られるのですが、私が個人的に気になったのは、新たに基本要件として加わった

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)

です。

中小企業庁のHPより抜粋(赤枠は当事務所にて追記)

なぜこれが気になったかと言うと、基本要件、すなわち申請要件として加わったので、一般事業主行動計画を公表していない事業者はそもそも申請が出来ない、となったためです。

申請要件となった一方で、
そもそも一般事業主行動計画ってなに?
と思われた方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、従業員が21名以上の事業者の場合、一般事業主行動計画が何なのか分からないと申請出来ません。

ということで、今回は、ものづくり補助金の新要件となった『一般事業主行動計画』にフォーカスを当てて記事を書いてみました。

それでは具体的に見ていきましょう!

1.令和6年度補正予算ものづくり補助金の基本要件の見直しポイント

令和6年度補正予算ものづくり補助金では、基本要件の変更が入りました。
いくつか変更点があったのですが、その中でも特に注目すべきは、従業員21名以上の事業者に対して「一般事業主行動計画の策定・公表」が新たに求められることになった点です。

申請要件ですので、対応を誤ると申請自体ができなくなってしまう可能性もあります。
本章では、基本要件の全体像を把握し、特に重要となる一般事業主行動計画への対応について解説していきます。

 1-1 令和6年度版の基本要件の概要

既に上記において画像で示した通りですが、令和6年度補正予算ものづくり補助金における基本要件は以下の4項目となりました。

  1. 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
  2. 給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上(または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加)
  3. 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
  4. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表(従業員21名以上の場合のみ)
中小企業庁のHPより抜粋

これまでの要件と変わった点は、

給与支給総額年平均成長率+1.5%以上増加

1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加

という点と、新たに、

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)

が加わったという2点になります。

 1-2 新要件:一般事業主行動計画の策定・公表

新たな対応として求められることとなった一般事業主行動計画の策定とは、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための具体的な取り組みについて計画を策定することを指します。
また、策定した計画は公表することが求められます。

一般事業主行動計画に関する詳しい内容は後述いたします。
ここでは、「従業員の仕事と子育ての両立等を支援するための計画を策定する必要があるんだ」という点を覚えていただければOKです。

ところで、一般事業主行動計画が追加となったわけですが、私なりに政府の意図を考察してみますと、
将来的な人口減少への対応や持続可能な経済成長の実現に向けて、企業における賃上げの促進と次世代育成支援の両面からアプローチしよう
ということであろうと考えております。

いずれにせよ補助金の申請者としては、こうした政策的な背景を理解しつつも、まずは基本要件を確実にクリアすることに注力することが重要です。

 1-3 補助上限額の増額

従業員21名以上の事業者については新たな対応が必要となったわけですが、悪い話ばかりではありません。

と言うのも、補助上限額が1,250万円から1,500万円へ、特例措置使用時は、2,250万円から2,500万円へと増額されています。

中小企業庁のHPより抜粋(赤線は当事務所にて追記)
中小企業庁のHPより抜粋(赤線は当事務所にて追記)

後述いたしますが、一般事業主行動計画の策定自体は実はそれほど難しくありません。
むしろ、この作業によって増額となるのであればお得になった、と言える感すらあります。

この記事を読んでいるか・読んでいないか、で一般事業主行動計画の策定・公表に対するイメージが大きく変わると思います。

それはすなわち、増額のチャンスを得て1,500万円を手にするか、大変そうだから見送るか(要は0円)、という大きな差に繋がります。

ぜひ最後までご覧いただければと思います。

2.一般事業主行動計画の基礎知識 - 制度の概要と要件

ものづくり補助金の申請要件となった一般事業主行動計画。
「行動計画」という名称だけを聞くと、複雑で手の込んだ計画書の作成が必要なのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

実際には、補助金申請のための要件としては、比較的シンプルな対応で十分な場合が多いと思われます。

本章では、補助金申請に必要な範囲で、一般事業主行動計画の基本的な内容と作成のポイントを解説します。

 2-1 一般事業主行動計画には2種類ある

まず最初に、前提となる基本情報を1点記載いたします。

実は一般事業主行動計画には以下の2種類があります。

  1. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画
  2. 女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

ここで改めてもう1度要件を確認しましょう。

中小企業庁のHPより抜粋(赤枠は当事務所にて追記)

どうやら今回要件として追加されたのは次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画のようです。

で解決といきたいところなのですが、、

従来の公募要領では、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画も、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画も、それぞれ加点対象となっています。

ものづくり補助金18次公募要領より抜粋(赤線は当事務所にて追記)

加えて、新要件においても、「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表」と、『等』が入っています。

かつて加点要素だったものが申請要件に格上げされた、すなわち、必ずしも次世代育成支援対策推進法のみが対象となっているわけではない可能性があります。

正直、これについては詳細情報がリリースされないと不明です。
ただ、不明なことをあれこれ書いても仕方ありませんので、この記事では「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」を念頭に記載させていただきます。

 2-2 一般事業主行動計画の基本的な考え方

一般事業主行動計画とは、従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むための計画です。
ものづくり補助金の所管省庁は経済産業省ですが、一般事業主行動計画の所管省庁は厚生労働省となります。

一般事業主行動計画には、

  1. 計画期間
  2. 目標
  3. 目標達成のための対策及びその実施時期

を定める必要があります。

もちろん計画ですので、細かく作りこもうと思えばいくらでも作りこめるわけですが、補助金申請の観点で言えば、上記3つの要素が含まれていれば十分と考えられます。

ちなみに、計画期間は、厚生労働省のHPによれば、「計画期間は2年間から5年間とすることが望ましい」とされています。

なお、この記事ではあくまでものづくり補助金の申請の観点から執筆しておりますが、これによらず、補助金申請をきっかけにより良い職場環境構築に向けて詳細な行動計画を策定するというのももちろん素晴らしい考えです。
この場合は、社会保険労務士などの専門家と二人三脚で作成されるのがよろしいと思います。

 2-3 計画に盛り込むべき内容

計画の内容は、各企業の実情に応じて設定できますが、補助金申請という観点からは、厚生労働省が提供するモデル計画を活用するのが効率的です。

厚生労働省のHPではさまざまなモデル行動計画が掲載されており、モデルA~モデルKまで、11ものモデル計画が掲載されています。

例えば「育児をしている社員が多く、いろいろなニーズのある会社」向けのモデル計画では、メンター制度の導入や短時間勤務制度の整備といった、比較的取り組みやすい項目が例示されています。

なお、具体的にどのような内容を記載すれば良いのか、などは次章にて記載しております。

厚生労働省のHPより抜粋

 2-4 計画の策定から公表までの基本的な流れ

計画の策定後は公表が必要となりますが、現時点では具体的な公表方法については詳細が明らかになっていません。

一般的な一般事業主行動計画の公表方法としては、「両立支援のひろば」や「女性の活躍推進企業データベース」などがありますが、ものづくり補助金における要件としてどのような公表方法が認められるかは今後リリースされる詳細情報を確認する必要があります。

そのため、まずは計画の策定自体を進めておき、公表方法については補助金の詳細な情報が出てから対応するのが賢明でしょう。

この一般事業主行動計画の策定・公表は、今回のものづくり補助金で初めて基本要件となった項目です。
そのため、申請を検討している多くの企業にとっては新しい取り組みとなる場合が多いかと思います。

ですが、厚生労働省から提供されている各種ひな形やサンプルを活用することで、大きな負荷となることなく対応することが可能となっています。

むしろ、この機会に子育て支援に関する社内制度を整備することは、人材確保や従業員の定着率向上といった観点からも、企業にとってプラスになる可能性がありますので、これを機に色々と検討されるのも良いかもしれません。

3.一般事業主行動計画の策定から提出までの実務ポイント

前章で一般事業主行動計画の基本的な内容を確認しましたが、実際にどのように作成を進めていけばよいのでしょうか。
補助金申請の要件をクリアするという観点から、効率的に計画を策定するためのポイントを解説していきます。
モデル計画をベースに、最小限の工数で要件を満たすための実践的なアプローチをご紹介します。

 3-1 計画策定の進め方と作業のポイント

一般事業主行動計画の策定では、厚生労働省が提供するモデル計画を活用することで、効率的に作業を進めることができます。

例えば、「育児をしている社員が多く、いろいろなニーズのある会社」や「長時間労働になりがちな会社」など、業態や課題に応じて、実に11種ものモデル計画が用意されています。

このモデル計画の中から、自社の状況に最も近いモデル計画を選択することが第一のポイントとなります。

 3-2 計画の記載内容

モデル計画を策定していく際の重要なポイントは、自社の実情と課題、達成したい目標、実現性、のバランスです。

例えば、目標設定では定量的な指標設定が推奨されているため、「育児休業取得率を○%にする」といった数値目標を掲げることとなりますが、現状の実績から極端に乖離しない、達成可能な水準に設定することが重要です。

計画は策定するのみならず公表する必要がありますので、あまりに意欲的すぎる目標を設定すると、その後の実績との乖離に苦しむこととなり、自身で首を絞めることとなってしまいかねません。

また、計画期間は、厚生労働省のHPによれば、「計画期間は2年間から5年間とすることが望ましい」とされていますので3年前後に設定するのが良いのではと考えます。

この場合、初年度に基礎的な取り組みを、次年度以降により発展的な取り組みを配置するなど、段階的な実施計画とすることで説得力が増したスマートな計画となります。

モデル計画A(厚生労働省のHP)より抜粋

 3-3 計画策定における注意点

一般事業主行動計画が新たに補助金の要件となりましたが、一般事業主行動計画の内容までものづくり補助金の審査に含まれるのか、現時点では不明ですし、場合によっては、補助金公募要領が出たとしても明記されない可能性がございます。

そのため、仮に審査に含まれたとしても良いように、実現可能性の高い、基本的な取り組みを盛り込むことをお勧めします。
目標数値を設定する場合も、確実に達成できる水準に留めることが重要です。

一般事業主行動計画の策定は、一見すると手間のかかる作業に思えるかもしれません。
しかし、モデル計画を活用し、補助金申請に必要な最低限の要件を意識して取り組むことで、効率的に対応することが可能です。

次章では、こうして策定した計画を含め、補助金申請に向けた具体的な準備について解説していきます。

4.補助金申請に向けた具体的な準備と注意点

補助金申請の成否を分けるのは、申請までの準備をいかに計画的に進められるかにかかっています。
特に、新たに追加された一般事業主行動計画の要件については、きちんとスケジュールを組んで早めに対応しておくことが賢明です。
本章では、申請に向けた準備のポイントと、特に注意すべき事項について解説します。

 4-1 申請までのスケジュール管理

一般事業主行動計画の策定自体は1週間程度で完了できますが、公表手続きなどを考慮すると、数週間~1ヶ月程度の余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。

特に、ものづくり補助金で一般事業主行動計画が要件となるのは従業員が21名以上の事業者であり、個人事業主・1人親方のような少人数な事業者ではありません。

個人事業主・1人親方であれば、経営者が計画策定を担うこともありますが、従業員が21名以上の事業者のような、ある程度組織化されている場合、計画の策定は経営者以外の担当者が担うことが考えられます。

すなわち、経営者の承認が必要となるケースが考えられるため、決裁(稟議)の時間も考慮に入れておくべきでしょう。

 4-2 計画策定における実務的なポイント

一般事業主行動計画は「両立支援のひろば」での公表が一般的ですが、ものづくり補助金における具体的な公表方法については、詳細情報の公開を待つ必要があります。

そのため、計画自体は早めに策定しておき、公表方法が明確になり次第、速やかに対応できるよう準備しておくことが賢明です。

また、一般事業主行動計画が補助金審査にどのような影響を及ぼすのか現時点では不明であり、かつ、今後も審査への影響について詳細情報が出るとは限らないことから、仮に審査に含まれたとしても良いように、実現可能性の高い計画とするのが良いと考えます。

 4-3 補助金申請に向けた準備

補助金申請時には、一般事業主行動計画の策定・公表が完了していることを示す書類が必要となる可能性が高いと考えられます。

これまでの補助金申請の実務を踏まえると、計画そのものに加えて、公表したことを証明する書類(画面のスクリーンショットなど)の準備も申請の際には忘れないように、あらかじめ準備しておくのが良いでしょう。

加えて、一般事業主行動計画の要件は従業員21名以上の事業者のみに求められていますが、従業員数のカウント方法については補助金の詳細な募集要項で確認する必要があります。
現時点で従業員数が21名前後の事業者は、どちらの場合にも対応できるよう準備を進めておくことをお勧めします。

なお、今回の記事は「一般事業主行動計画」にフォーカスを当てた内容としており、ものづくり補助金の具体的な申請内容には踏み込んでおりませんが、ものづくり補助金は用意すべき書類が多いなど比較的難易度が高い補助金になっています。

実際に、高難度であることから申請に関する書籍なども出版されています。
※最新の制度には対応しておりませんが、基本的な考え方などは参考になる本です。(私も購入済み)

採択されやすい事業計画書が書ける! 中小企業・支援者のための ものづくり補助金申請ガイドブック〔第2版〕 – 2021/5/31

もちろん、これらの図書を参考に、ご自身で用意・申請することも可能です。
しかし、もし、これらの図書を読んでみて、少しでも面倒そうだなと感じたら専門家に頼む、というのも一案です。

これは、自身で申請出来る・出来ない、ということではなく、習得までの時間がもったいないためです。
専門家への費用を払ってでも、事業運営に全力投球された方が得策だと考えております。

もちろん、当事務所でも承っておりますのでお気軽にご連絡ください。

5.まとめ:計画的な準備で実現する円滑な補助金申請

令和6年度ものづくり補助金の基本要件に追加された一般事業主行動計画の策定・公表。
この新要件への対応は、一見すると手間のかかる作業に思えるかもしれません。

しかし、これまで解説してきた通り、厚生労働省が提供するモデル計画を活用することで、効率的に準備を進めることが可能です。

計画策定の際の重要なポイントとしては、過度に意欲的な内容を盛り込むのではなく、確実に実現可能な内容とすることです。

その一方で、公表方法については、補助金の詳細要件が明らかになっておりません。
そのため、現時点では、まず計画の策定を進めておき、要件が明確になり次第、速やかに対応できるよう準備を整えておくことが賢明です。

新しい要件への対応は確かに負担となりますが、この機会に社内の子育て支援体制を整備することは、補助金申請以外の場面でも企業にとってプラスとなる可能性があります。
計画的な準備と実務的なアプローチで、この新要件をスムーズにクリアし、補助金申請の実現につなげていただければと思います。

詳細な要件が明らかになり次第、当事務所でも引き続き情報提供を行ってまいります。
また、一般事業主行動計画の策定や補助金申請に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

さて、いかがでしたでしょうか。
ものづくり補助金の新要件となった『一般事業主行動計画』について
について解説させていただきました。

今回紹介した内容があなたのビジネスをより効率的に進める手助けになれば嬉しいです。

補助金は『募集期間』があるため、「知った時にはもう終わってた、、」ということが起こりがちです。
ぜひ当事務所では補助金に関する情報発信を行っておりますので、定期的に覗きに来ていただければ幸いです。

もちろん、当事務所でもお手伝いさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。
民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法です。行政書士以外の書類作成代行の広報にはお気を付けください。

今回は以上になります。

ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
各種支援制度が続々と動き始めていることから当事務所の業務状況次第ではご依頼をお受け出来ない事態も考えられます。
ご興味がありましたらお早めにご一報ください。

皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた

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