事業再構築補助金公式オンライン説明会の概要(サプライチェーン強靭化枠以外)
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としており、行政書士の中でも数少ない認定支援機関として経済産業省から認定されている事務所となります。
補助金額が高額設定となっている分、採択への難易度が高い事業再構築補助金ですが、5月30日(火)から『申請者向けオンライン説明会』が開催されています。
この説明会は非常に有益である一方で、一回聞いただけではよく理解出来なかった、という方もそれなりにいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな事業再構築補助金公式オンライン説明会について、どんな内容だったのかを所々補足を交えてまとめていきたいと思います。
これから聞く予定の方の予習の観点から、既に聞いた方の復習の観点から、オンライン説明会の理解がより深まる一助になればと思い作成したものになります。
読めば聞かなくてもいい、というものではありませんので、オンライン説明会はぜひ積極的にご視聴ください。
なお、この記事では多くの方が対象となる『サプライチェーン強靭化枠以外』の説明会についての記事になります。
申請を考えられている事業者さんはもちろん、事業者の申請支援を行う士業者にとっても有益な内容になっていると思います。
それではいきましょう
目次
本題に入る前に今回の記事ですが、上述したとおり、事業再構築補助金は人気の高い補助金である一方で、難易度が高い補助金でもあります。
少しでも分かりやすくなるように、少しでも柔らかくなるように、キャラクターを使って記事執筆をしてみようと思います。
不慣れにつき、至らぬ点もあろうかと思いますが、初の試みなので寛大に応援していただければ嬉しいです。
それでは、ずんだもん君、今回はよろしくね
了解なのだ。任せるのだ!
1.事業再構築補助金 公式オンライン説明会とは?
公式オンライン説明会って何なのだ?
ZOOMのURLにアクセスし、開始時間になったら冒頭に職員から簡単な注意事項の発言があった後、機械音声(と言ってもかなり滑らか)で以下の1から5について説明が流れます。
最後に担当者が6の注意喚起をして終了、という流れになります。
公募要領をもとに説明が進んでいくので、手元に公募要領を準備しておくこと推奨です。
所要時間はだいたい45分~50分くらいです。
内容
- 事業再構築補助金の概要
- 各類型の概要と必須要件
- 補助対象経費について
- 事前着手届出の手続き
- まちがいやすいポイントとよくある不備事例
- 補助金の不正受給に関する注意喚起
どれも重要そうなのだ!
実は、当初はこの説明会への参加は「必須」となっていました。
現在は参加は任意に変更されていますが、ただ、「任意」になったとは言え、申請を考えているのであればできる限り説明会に参加しておいた方が良さそうです。
※オンライン説明会参加時に名前とメールアドレスを求められます。
参加必須から任意になって、でも名前とメールアドレスを求められて、、
なんだかバタバタなのだ
では次からは説明の概要について書いていこうと思います。
よろしくお願いなのだ!
2.公式オンライン説明会で聞ける内容
ではここから本題の、公式オンライン説明会で聞ける内容をまとめていこうと思います。
2-1 事業再構築補助金の概要
まず、事業再構築補助金の概要として、
- 事業再構築補助金の趣旨と目的
- フロー(流れ)
- 留意点
- 補助対象者
について説明されていきます。
では順番に説明の概要を書いていきます。
『(1)事業再構築補助金の趣旨と目的』については、公募要領の2ページ目に沿って説明がされます。
特に注目すべき情報はありませんのでこちらについては割愛いたします。
次に『(2)事業再構築補助金の大まかな流れ』についての説明が流れます。
内容としては以下になります。
- この補助金は電子申請でのみ応募が可能であること
- 電子申請を行うためにはGビズIDが必要であること
- 応募締め切りは、6月30日(金)18時までであること
- 再構築補助金では『申請』というアクションが2回必要なので注意すること
『申請』が2回あるのは紛らわしいのだ
そうですね
これについては補足が必要だと思いますので解説いたします。
再構築補助金では以下のような作業フローとなります。
- 応募申請
- 採択
- 交付申請
- 交付決定
- 事業開始
『応募申請』と『交付申請』の2種類の『申請』があります。
6月30日(金)18時までに必要となる申請は、1番上のアクションである『応募申請』のことです。
応募申請後、だいたい2カ月~3カ月後の採択発表がされることになります。
見事採択されると、次にもう1アクション必要となり、それが『交付申請』です。(2つ目の『申請』になります。)
この『交付申請』を忘れてしまうと、原則、事業にかかった費用が補助対象外になってしまう(※)ので注意が必要です。
※正確には、交付申請前の費用が対象外になるのではなく、交付決定を受ける前にかかった費用が補助対象外となってしまいます。
これは要チェックなのだ!
話をオンライン説明会の内容に戻します。
次に『(3)留意点』についての説明が流れます。
内容としては以下になります。
- 採択後の『交付申請』(2つ目の申請)の際には相見積書が必要になる等、細かな資料提出が必要となること
- 補助金は事業終了後に支払われる、いわゆる『後払い』であること
- 後払いを受けるためには色々と書類を整える必要があり、特に、設備等の購入時の支払いは銀行振込を証する資料が必要であること
※現金払い・手形払い等で支払ったものは補助対象外になってしまうので注意
いつもの感覚で現金払いや手形払いをしないように要注意なのだ!
事業再構築補助金の概要の最後、『(4) 補助対象者』についてになります。
これは、公募要領の7ページに沿って説明がされます。
内容としては以下になります。
- 中小企業者等と中堅企業が原則として補助対象
- 中小企業者等には含まれるけど中小企業者ではない法人については、収益事業を行っていることが確認出来ない場合は補助対象者にはならない
- 同様に、運営費の大半を公的機関から得ていると判断される事業者も補助対象者とならない
「中小企業者等には含まれるけど中小企業者ではない法人」。。
ややこしいのだ、、
そうですね
公募要領の7ページから8ページに書かれているのですが、具体的には、企業組合や社団法人などが「中小企業者等には含まれるけど中小企業者ではない法人」に該当します。
事業再構築補助金の概要については以上になります。
2-2 各類型の概要と必須要件
事業再構築補助金の概要の次は、各類型の概要と必須要件に移ります。
ちなみに、表題は「概要と必須要件」ですが、オンライン説明会での説明の順番は『必須要件』と『各類型の概要』の順に行われますので、この記事でもこの順番で書いていきます。
『必須要件』は公募要領3ページの下段に書かれている内容に沿って説明されます。
「事業再構築補助金の大前提として2つの条件を満たすことが補助対象要件である」とし、その2つとは以下になります。
- 3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関(いわゆる認定支援機関)の確認を受けていることが必要。
なお、3,000万円を超える場合は金融機関の確認も必要。 - 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を向上させること。申請枠によって向上させるべき値は異なるものの、補助事業終了後3~5年で、年率平均3から5%以上の増加が必要(または、従業員1人当たり付加価値額を年率平均3から5%以上の増加が必要)
「コロナによる売上減少要件」が無くなったのだ!
次に『各類型の概要』についての説明へと移ります。
公募要領の10ページをもとに、7類型(※)についての説明となります。
※制度上は全8類型ですが、今回は「サプライチェーン強靭化枠以外」の回の説明会のまとめ記事のため、サプライチェーン強靭化枠を除く7類型の説明となります。
な、7種類、、
今回の記事は、オンライン説明会の内容のまとめ記事ということなので一応説明のあった7種類の類型について記載しますが、公式資料のリーフレットや「事業再構築補助金の概要」というパワポベースの資料をご覧いただければ足りるので、ここは読み飛ばしていただいても結構かなと思います。
また、当事務所においても解説記事を作成していますのでこちらも参考までにご覧ください。
【リーフレット】
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/jigyo_saikoutiku010.pdf
【事業再構築補助金の概要】
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/summary010.pdf
(1)成長枠
成長枠は、成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者を対象として、最大で7,000万円を補助 上限、補助率は中小企業者等が2分の1、中堅企業等が3分の1、という制度になります。
成長枠の要件としては、必須要件である「付加価値額が年率平均4%以上の増加」が必要であることに加えて、更に要件を2つ満たす必要があります。
- 取り組む事業が過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
- 事業終了後3~5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
なお、①の対象となる業種・業態は事務局で指定しており対象リストが事業再構築補助金HPで確認出来ますので、必ずご確認ください。
ちなみに、指定された業種 業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨、データ等を提出して認められた場合には対象となる可能性があります。
(2)グリーン成長枠
グリーン成長枠は、研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みを行う事業者を対象とし、スタンダード枠と要件を緩和したエントリー枠の2種類があります。
中小企業者等の場合は、補助上限はスタンダード枠が最大1億円、エントリー枠が8,000万円となっており、補助率は、スタンダード枠・エントリー枠ともに1/2となっています。
なお、成長枠とグリーン成長枠は、後述の(3)卒業促進枠、または、(4)大規模賃金引上促進枠、のいずれかに同時応募が可能です。
応募要件を満たし交付された場合、(3)卒業促進枠では、応募した(1)成長枠または(2)グリーン成長枠の上限額まで、(4)大規模賃金引上促進枠では、上限3,000万円まで補助金を上乗せすることができます。
グリーン成長枠の要件としては、必須要件として、付加価値額が「エントリーでは年率平均4%以上」、「スタンダードでは年率平均5%以上」の増加である必要です。
加えて、要件を2つ満たす必要があります。
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、
・その取り組みに関連する1年または2年以上の研究開発・技術開発を行うこと
・従業員の一定割合に対する年間20時間 以上の人材教育を併せて行うこと
のいずれかが必要となります。 - 事業終了後3から5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
また 成長枠およびグリーン成長枠では、以下の両方を満たすことで中小企業では2分の1から3分の2へ、中堅企業では3分の1から1/2へ補助率を引き上げることができます。
- 補助事業機関内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
- 補助事業機関内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
(3)卒業促進枠
卒業促進枠は、(1)成長枠、(2)グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対し、補助金額を上乗せして支援します。
なお、「大規模賃金引上促進枠」との併用はできません。
要件は2つ満たす必要があります。
- 成長枠またはグリーン成長枠に同一の公募回で同時に申請すること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年で、中小企業特定事業者、中堅企業の規模から卒業すること
なお、卒業促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。
(4)大規模賃金引上促進枠
大規模賃金引上促進枠では、(1)成長枠、(2)グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げを行う事業者に対して、補助金額を上乗せして支援する枠となっています。
なお、(3)卒業促進枠との併用はできません。
要件は3つ満たす必要があります。
- 成長枠またはグリーン成長枠に同一の公募回で同時に申請すること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年で事業場内最低賃金を年額 45円以上の水準で引き上げること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年で、従業員数を年率平均1.5%以上増員さ せること
なお、大規模賃金引上促進枠の補助対象経費は、成長枠またはグリーン成長枠の補助対象経費と明確に分ける必要があります。
(5)産業構造転換枠
産業構造転換枠は、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者を対象に最大7,000万円を補助上限とし、補助率は中小企業者等が3分の2、中堅企業等が2分の1となります。
産業構造転換枠の要件は、必須要件である「付加価値額が年率平均3%以上の増加」が必要であることに加えて、以下の2つのうち、いずれかを満たす必要があります。
- 現在の主たる事業が過去から今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
- 地域における基幹大企業が撤退することにより市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
なお、どの業種・業態が①にあたり、どの地域が②当たるかは指定リストが事業再構築補助金HPに掲載されていますので、必ず公式サイトからご確認ください。
(6)最低賃金枠
最低賃金枠は、最低賃金引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な事業者を対象に最大1,500万円を補助上限とし、補助率は中小企業者等が4分の3、中堅企業等が3分の2となります。
最低賃金枠の要件は、必須要件である「付加価値額が年率平均3%以上の増加」が必要であることに加えて、2つの要件を満たす必要があります。
- 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が2019年から2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 2021年10月から2022年8月までの間で3か月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること
なお、最低賃金枠は加点措置が行われ、後述する(7)物価高騰対策・回復再生応援枠に比べて採択率において優遇されます。
(7)物価高等対策・回復再生応援枠
物価高等対策・回復再生応援枠は、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、原油価格物価高騰等の影響を受ける事業者を対象に、最大3,000万円を補助上限とし、補助率は中小企業者等が3分の2、中堅企業等が2分の1となります。
物価高騰対策・回復再生応援枠の要件は、必須要件である「付加価値額が年率平均3%以上の増加」が必要であることに加えて、以下の2つのうちいずれかを満たす必要があります。
- 2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が2019年から2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画等を策定していること
7種類はさすがに長かったのだ、、
あ、まだ続きます。
次に『事業再構築類型』についての説明になります。
事業再構築類型は全部で5種類あり、こちらについては公募要領の18ページをご覧いただくのが分かりやすいと思います。
公募要領が分かりやすいよと言いつつ、オンライン説明会のまとめ記事ですので書き綴っていこうと思います。
※公募要領の18ページをご覧いただいた方は読み飛ばしていただいても結構です。
(1)新市場進出(新分野展開 業態転換)
新市場進出(新分野展開 業態転換)とは、主たる業種または主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。
新市場進出(新分野展開 業態転換)に該当するためには、製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高10%要件の3つを満たす必要があります。
なお、市場の新規性とは、既存事業と顧客層が異なることを説明する必要があるので注意が必要です。
(2)事業転換
事業転換とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。
事業転換に該当するためには、製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高構成比要件の3つを満たす必要があります。
(3)業種転換
業種転換とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
業種転換に該当するためには、製品等の新規性要件、市場の新規性要件、売上高構成比要件の3つを満たす必要があります。
(4)事業再編
事業再編とは、会社法上の組織再編行為等を交付決定後に行い、新たな事業形態のもとに新市場進出(新分野展開、業態転換)、業態転換、事業転換、または業種転換のいずれかを行うことを指します。
事業再編に該当するためには、組織再編要件、その他の事業再構築要件の2つを満たす必要があります。
(5)国内回帰
国内回帰については、サプライチェーン強靭化枠における要件となっており、今回は、「サプライチェーン強靭化枠以外」の説明会に関する記事であるため、割愛させていただきます。
※実際に公式オンライン説明会においても割愛されています。
や、やっと終わったのだ、、、
2-3 補助対象経費に関する留意事項
長かった各類型の概要と必須要件の次は、補助対象経費に移ります。
なお、ここはお金に関する留意事項で非常に重要ですので、しっかりと書いていこうと思います。
※ここは読み飛ばし厳禁です。
了解なのだ!
審査の結果、経費の大半が補助対象外と判断されたために、応募時に計上された金額よりも大幅に減額され、減額した低い金額で交付決定を受けるというケースが散見されているとのことです。
事務局では、公募要領や補助事業の手引きにのっとって経費について審査を行い、事業に不必要であると判断された経費は補助対象外となってしまいます。
補助対象として認められない経費として「よくあるケース」は以下であるとの説明がされました。
経費として認められないケース(外注委託編)
公募要領の28ページの①に書かれている内容をもとに、より詳細に説明した内容として以下の例が紹介されました。
- 事業再構築の実施の大半を他者(他社)に外注・委託し、企画だけを行う事業は不採択(または交付取り消し)となります。
例えば、申請者が新事業の計画を作成したものの、事業を実施する上で従業員が足りないために、個人事業主自身は既存事業に専念し、新規事業は委託した他の会社に運営させるような事業がこれに該当します。 - 他の例としては、子会社が事業を行うものの、子会社では応募要件を満たさないなどの理由で親会社が代わりに申請だけを行うようなケースも、大半を他者に外注または委託し、企画だけを行う事業に該当し、不採択(または交付取り消し)となります。
経費として認められないケース(資産運用的性格の強い事業編)
公募要領の28ページの③に書かれている内容をもとに、より詳細に説明した内容として以下の例が紹介されました。
- 不動産賃貸、駐車場経営など、補助事業者自身が事業実施のため何らかの行動をしなくても収益を得られるような、資産運用的性質の強い事業や賃貸事業などは補助対象外となります。
外注委託のケースも資産運用的性格の強い事業も、どっちも要は「自分でも汗をちゃんとかけ」と言っているのだ!
経費として認められないケース(1次産業編編)
公募要領の28ページの⑤に書かれている内容をもとに、より詳細に説明した内容として以下の例が紹介されました。
- 事業再構築補助金では、一次産業に分類される農業・林業・漁業に取り組む事業計画は補助対象外となっています。
- 既存事業で農業に取り組む事業者が、農作物の加工や農作物を用いた料理の提供を行う場合など、付加価値を付ける加工を行うといった2次産業分野または3次産業分野に取り組む場合には、必要とみなされる経費は補助対象となり得ます。
- ただし、2次産業分野または3次産業分野に取り組む場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体に必要な経費は一次産業にかかる経費とみなし補助対象外となります。
経費として認められないケース(事業計画の重複編)
公募要領の28ページの⑪に書かれている内容をもとに、より詳細に説明した内容として以下の例が紹介されました。
- 同一とみなされる法人や事業者が今回の公募で複数の申請を行っている事業やテーマや事業内容から、国が助成する他の制度と同一または類似していると判断した事業などは重複とみなされます。
- 申請された内容が他の法人事業者と同一または酷似していると判断された場合は次回以降の公募への申請ができなくなってしまうので十分な注意が必要です。
事業計画の重複については「フルーツサンド事件」が有名なのだ
そうですね。
まぁここではあえて多くを語りませんので、気になる方はご自身で検索をかけてみてください。
経費として認められないケース(専門家経費編)
公募要領の33ページになります。
- 事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます。
その場合公募要領に記載の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要となります。 - 言い換えれば、用意が出来ない場合は補助対象外となります。
経費として認められないケース(既存事業との切り分け編)
公募要領の36ページになります。
- 補助対象経費は原則として補助事業に使用される必要があります。既存事業等、補助事業以外で用いた場合は目的外使用と判断され、残存簿価相当額等を返納しなければならなくなりますので注意が必要です。
経費として認められないケース(見積書・発注等編)
公募要領の32ページ以降に書かれている内容をもとに、より詳細な説明内容として以下が説明されました。
- 採択された後、事業における発注先の選定にあたって、経済性の観点から発注先1件あたりの見積額の合計が税抜き50万円以上になる場合は、原則として同一条件による相見積を取ることが必要となります。50万円を下回る場合も可能な範囲において相見積を取得し、最低価格を提示した者を選定することが求められています。
- 相見積もりを取っていない場合、または、最低価格を提示したものを選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を用意する必要があります。
- 相見積を取得したとしても見積額が市場価格と乖離している場合は対象外となります。
- 広告宣伝・販売促進費に関しても相見積書および価格の妥当性が確認できる証憑の提出が必要となります。
- ペーパーカンパニーや販売実績が全くない業者等からの相見積りは認められておらず、発覚した場合には虚偽の内容を含む申請として不採択または交付の取り消しとなってしまうため注意が必要です。
相見積書が必要なのはあくまで採択後の話なのだ
経費として認められないケース(建物費編)
公募要領の32ページに書かれている内容をもとに、より詳細な説明内容として以下が説明されました。
- もっぱら補助事業のために使用される建物の建設・改修に要する経費が原則、補助対象経費として認められます。
「もっぱら補助事業のため」ですので、既存施設の老朽化による改修や移転リニューアルなど補助事業とみなされない既存事業の効用増加につながる経費は補助対象外となります。 - 建物費は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づき、補助対象か否かの審査が行われます。この省令における『構築物』に該当する経費は、建物費には該当しないため、補助対象外となる点に注意が必要です。
『構築物』として対象外となる事例としては、サッカーコートやドッグランなどの人工芝、屋外に設置するプール、野外の駐車場などが挙げられます。 - 一方で、建物内の床材としての人工芝や建物内に設置されるプールの施工費など、建物と一体とみなされる場合は、補助対象となり得ます。
- このように、該当設備の設置状況や構造によって判断が分かれますので、必要に応じて税理士や認定支援機関などへの相談してください。
経費として認められないケース(機械装置システム構築費編)
公募要領の33ページに書かれている内容をもとに、より詳細な説明内容として以下が説明されました。
- 建物費と同様に、機械装置システム構築費に関しても「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づき補助対象か否かの審査が行われます。補助対象となるものは、省令における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」となります。
- そのため、補助事業に必要不可欠であったとしても、船舶、航空機、車両などは機械装置に当たらないため、補助対象外となる点に注意が必要です。
- 補助対象となる機械装置等は、税抜き単価10万円以上のものとなります。
経費として認められないケース(その他の経費編)
公募要領の34ページの中段に書かれている内容をもとに、より詳細な説明内容として以下が説明されました。
- 建物に当てはまらない一方で、『構築物』とすると補助対象外となるために、外注費として計上して申請するケースが見られます。この場合でも、構築物の設置にかかる費用は外注費としては認められず、補助対象外となります。
- 公募要領の36ページ②に記載されている『汎用性』の説明には、汎用性が高いものに関しては補助対象経費の対象外になると記載されています。
例えば、レンタル費は補助対象外となります。また、自動車、車両、船舶、航空機等の購入費・修理費、車検費用も対象外となります。 - 公募要領37ページ上段に記載されている『再生可能エネルギー』の説明には、再生可能エネルギーの発電を行うための設備等にかかる経費に関しては 補助対象対象外になると記載されています。ソーラーパネルや付属の蓄電池等の再生可能エネルギーの発電を行うための設備等にかかる経費は、発電を行うための発電設備および当該設備と一体不可分の付属設備とみなすため、補助対象経費として認められません。
- なお、これはグリーン成長枠に応募する事業者においても補助対象外となる点に注意が必要です。
いちいち覚えてられないって人は認定支援機関に頼っちゃうのがいいと思うのだ
そうですね
公募要領には「認定経営革新等支援機関を含む外部機関の助言を受けることは差し支えございません」と明記されていますので、抱え込まず、アドバイスを求めましょう。
なお、上記のほか、既存事業の経費に対して補助金を使用すること、補助金により取得した財産等を流用することは禁止されている旨の説明もされていましたので、こちらも注意しましょう。
2-4 事前着手手続きについて
補助対象経費に関する留意事項の次は、事前着手手続きの説明に移ります。
公募要領では39ページに記載されています。
補助金制度として、契約の締結といった補助事業の着手は、原則として交付決定後となります。
交付決定前に補助事業を開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはなりません。
ただし、「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」につきましては、公募開始後に事前着手届出を提出し、受理された場合は、2022年12月2日以降の設備の購入・契約等が補助対象となり得ます。
その一方で、「産業構造転換枠」、「成長枠」、「グリーン成長枠」では事前着手は認められず、交付決定後の事業開始となる点に注意が必要です。
なお、特に注意が必要な点としては、採択前に事前着手が受理された場合であっても、それをもって採択が約束されたことを意味するのではない点に注意が必要です。
また、採択された場合でも、補助対象経費については交付審査にて補助対象として認められたものに限られるため、事前着手により支出した経費が必ず補助対象として認められるとは限られない点に注意が必要です。
事前着手手続きの制度を活用すると早く事業に取り掛かれるのだ
2-5 間違いやすいポイントとよくある不備事例
機械音声のラストの項目として、補助対象者としての要件に関わるポイントのうち特に不備が多いポイントの説明がありました。
概要は以下の通りです。
間違いやすいポイントを押さえるのは大切なのだ!
要件を満たしているかどうかの確認
各公募回では、補助対象者の要件を満たしていない事業者からの申請が相当数あります。要件を満たしていないことに気付かないまま事業計画書の作成に入ってしまうことのないよう、申請者要件や補助対象事業の要件を満たしているかどうか、注意が必要です。
みなし大企業
みなし大企業については、公募要領の9ページに記載されています。
事業再構築補助金において大企業とは、一部法人を除き、中小企業基本法に規定する中小企業者以外のものを指します。
そして、中小企業基本法に規定する中小企業者であっても、一定以上の株式を大企業が保有する場合などは、みなし大企業として取り扱い、事業再構築補助金では補助対象外となっています。
株主、出資者名、出資比率、所在地、資本金、従業員数、業種まできちんと確認した上での申請が求められています。
なお、事業再構築補助金において示されている中小企業者以外の者とは、公募要領の7ページに記載されている中小企業者と、公募要領の8ページに記載されている中堅企業等の両方に該当しない事業者となります。
みなし同一法人
みなし同一法人については、公募要領では9ページの米印6に記載されています。
みなし同一法人は、同一公募回だけでなく、過去の採択事業者を含めて50%超の議決権を保有している事業者に関しては、子会社・親会社だけでなく、孫会社・ひ孫会社を含めていずれか1社のみの申請しか認められておりません。
併せて、法人・個人問わず、一つの法人、一つの個人が複数の事業者の議決権を50%超保有している場合も同様に、みなし同一法人として取り扱うため、1社のみの申請しか認められません。
それを踏まえて、事業者の議決権を有する法人・個人が申請または複数の会社の議決権を有する方が議決権を保有されている場合には、議決権を有している複数の事業者の中で、過去回や公募回で申請されている法人・個人がいないかの確認が必要となります。
事業者自身が他の申請状況を知らずに申請してしまい、結果、不採択となる事例もあります。また、もっぱら本事業の対象事業者となることを目的として、株式保有割合等を変更していると認められ た場合は対象外となってしまいます。
なお、「グリーン成長枠」、「産業構造転換枠」、「サプライチェーン強靭化枠」については、一定の条件下で過去に採択された事業者の再申請が認められています。
ただし、支援を受けることができる回数は2回が上限となっています。過去に採択された事業者による再申請の場合は、追加提出資料が必要となる点に注意が必要です。
1次産業について
公募要領では28ページから29ページに記載されています。
農業を行う事業者が単に別の作物を作る、飲食店が新しく漁業を始めるなど、新たに取り組む事業が1次産業である場合は、不採択または交付決定取り消しとなります。
ただし、例えば、農業に取り組む事業者が農作物の加工や農作物を用いた料理の提供を行う場合など、2次または3次産業分野に取り組む場合に必要な経費は補助対象となります。
その場合であっても、加工や料理提供の材料である農作物の生産自体に必要な経費は、補助対象外となる点に注意が必要です。
同一法人事業者が複数申請を行っている場合
同一法人事業者が今回の公募で複数申請を行っている場合も不採択・交付決定の取り消しとなります。
また、テーマや事業内容から判断して、国等が助成する他の制度と同一、または、類似内容の場合も同様の措置となります。
事業譲渡や事業承継について
公募要領40ページに記載されている事業譲渡や事業承継についても注意が必要です。
交付決定前の事業譲渡や事業承継は認められていません。また、交付決定後に補助事業の実施を他の企業等に承継する場合には、あらかじめ事業承継の承認を受けなければなりません。
承継後に承認申請を行った場合は、事後申請とみなされ、承認されない点に注意が必要です。
3.補助金の不正受給に関する注意喚起
機械音声での説明は『2-5 間違いやすいポイントとよくある不備事例』までで、最後に担当者からの説明で不正受給に関する注意喚起がなされます。
その内容は次の通りです。
虚偽の申請による不正受給、補助金の目的外利用や補助金受給額を不当に吊り上げて関係者へ報酬を配布する、といった不正な行為が判明した場合は、交付規定22条に基づき交付決定取り消しとなります。
補助金交付済みの場合、加算金を課した上で当該補助金の返還を求めます。
不正を行った者は、不正内容の公表だけではなく補助金交付等停止および契約にかかる指名停止措置が取られる場合もございます。
また、懲役や罰金といった補助金適正化法による罰則や詐欺罪等に問われる可能性がございます。
刑事罰の対象となった場合、今後の事業の継続にも大きく影響がございます。
不正行為をしないようご注意ください。
また、何か不審に感じることがありましたら、トラブル等通報窓口までご連絡ください。
そのほか、補助事業に関するご相談はコールセンターまでご連絡ください。
不正ダメ! 絶対!!
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
ずんだもん君を登場させることで堅苦しい言い回しが少しはマイルドになって伝わりやすくなっていたら嬉しい限りです。
もしもっと色々と知りたい、という場合はお気軽にお問い合わせください☆
※民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法です。行政書士以外の書類作成代行の広報にはお気を付けください。
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※補正予算が成立し、各種支援制度が動き始めるため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた
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