補助金のプロが教える「オフィスソフトはマイクロソフト製品にすべき」3つの理由~補正予算の補助金獲得に向けて~
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としております。
前回の更新から3カ月以上も間が空いてしまいました。
この間、お仕事に加えて、認定支援機関になるためのテストが控えており、そちらに時間を使ってしまっておりました。
そして、何とかテスト勉強を終わらせることが出来ましたので、また色々と記事を書いていこうと思いますので、皆さまどうぞよろしくお願いします。
さて、
昨日、10月28日(金)に「総合経済対策」が閣議決定され、これを受けて2022年度の第2次補正予算が動き出すこととなりました。
昨今の物価高や横ばいの賃金の状況を受けて、補正予算で何らかの補助金が措置されるものと思われます。
例えば、内閣官房のホームページに
内閣官房ホームページより
がアップされており、ここには
中小企業の事業再構築補助金・生産性革命4補助金について、賃上げを条件とした補助金の抜本的拡充を図る。
と記載されていることから、事業再構築補助金やものづくり補助金辺りは措置される可能性が高いと言えそうです。(下図参照)
これらを受けて、今後、補助金申請をご検討される方もまた増えるのかなと思っております。
そんな方向けに、今回、私から申し上げたいことは
申請書の作成はMicrosoft社製のオフィスソフト(具体的には、Word、Excel、PowerPoint)を使うべし!
ということです。
Microsoft社製のオフィスソフトは導入するのにそれなりの費用がかかるため、無料で使えるGoogle社製のソフトを使っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜそれではダメなのか
今回は、補助金申請の書類作成はMicrosoft製品にすべき3つの理由と題して説明していきたいと思います。
申請を考えている事業者はもちろん、事業者の申請支援を行う士業者にとっても有益な内容になっていると思います。
それではいきましょう
3つの理由に入る前に、まず、大前提としてMicrosoft製品以外のオフィスソフトを使うと『不採択となるリスクが高まる』というのがこれからあげる3つの内容全てに共通する結論です。
では、なぜそうなるのか
それぞれ書いていきたいと思います。
※ちなみに、以下の内容では、Google社製のオフィスソフトを例としてあげていますが、基本、どのオフィスソフトでも同じリスクを孕んでいるとしてお読みください。
1.要件不備・様式不備となる可能性が高まる
Google社が提供しているオフィスソフトは、Microsoft社製と同じようなことが出来る上に、それが無料で使えるというのが大きな魅力となっています。
しかし、あくまで『同じような』であって、『同じ』ではありません。
補助金の様式は当然に、国・自治体といった、いわゆる『役所』が作っているわけですが、これらはMicrosoft社製のオフィスソフト(Word、Excel、PowerPoint)によって作成されています。
そして、これら様式には、チェックボックスやリストボックスなど様々な機能を用いて作成されていることも珍しくありません。
様々な機能を用いた様式自体は、役所が申請者側の作業負荷軽減を考えた上でのものであり、ありがたいことなのですが、実はこれら機能はGoogle社が提供しているオフィスソフトでは完全に再現されない場合があります。
Microsoft社製のオフィスソフトとGoogle社製のオフィスソフトを比較したサイトをいくつか見てみても、「互換性は高まってきているものの100%ではない」という結論ばかりですし、実際にお客様から相談を受けている私の体験談としてもやはり「100%ではない」というのが感想です。
では、「完全に再現されない」ということの一体何が良くないのでしょうか。
最も大きいのは、要件不備・様式不備扱いになる可能性があるということです。
例えば、中小企業が申請要件となっている補助金の様式で、「申請者は大企業ではない」という項目にチェックボックスが設置されていて、『はい』にチェックを入れなければいけないにも係わらず、チェックボックスが再現されないためにチェックを入れられず、
結果、要件不備や様式不備扱いになってしまいます。
もちろん、要件不備や様式不備は、内容勝負(審査)という土俵に上がる前に一発で不採択です。
ちなみにこの「様式が再現されない」リスクは、
Microsoft社製のオフィスソフト → Google社製オフィスソフト
※言い換えると、役所側 → 申請者側
でも起こり得ますし、申請者側では上手く様式が再現され、チェックを入れられたとしても、申請における
Google社製オフィスソフト → Microsoft社製のオフィスソフト
※言い換えると、申請者側 → 役所側
で変換ミスが起こる可能性があります。
要は、一発不採択のリスクが2回もあるということです。
これは明らかに大きなハンデですので、役所側がMicrosoft社製のオフィスソフトを用いている以上、申請者側もMicrosoft社製のオフィスソフトを用いて申請すべきと言えるでしょう。
2.レイアウトが崩れてしまう可能性がある
1つ目で要件不備や様式不備という、いわば門前払いのリスクがあることを書かせていただきました。
上手く門前払いを回避出来て、門の内側に入れたとしても、そこにもまたリスクがあります。
補助金は、要件さえ満たしていれば誰でも交付を受けられるというものではなく、内容がより良いものが採択されるというコンペ方式となっています。
そのため申請書には、自身の申請内容がいかに素晴らしいか、表・グラフ・図などを用いて見栄え良く資料作成することも攻略のポイントの1つとなります。
しかし、ここでもまた、1つ目であげた『再現性(互換性)が100%ではない』という壁が立ちはだかります。
申請者側がせっかく図などを用いて見栄え良く作っても、レイアウトが崩れることで意図が伝わらない資料になってしまいます。
要件さえ整っていればいいのであればまだそれでもアリかもしれませんが、上述の通り、補助金はコンペ方式です。
他者との比較(勝負)で「意図が伝わらない資料」というのは非常に大きなハンデと言えるでしょう。
また、申請者側のレイアウトが崩れてしまうということもそうですが、そもそも、役所側が用意した様式のレイアウトが崩れてしまうというリスクも持っています。
門前払いを回避して門の内側に入れてもまだ、Microsoft社製のオフィスソフトを用いて申請すべきと考えます。
3.審査側の心理として不採択にしやすい
1つ目で門前払いについて、2つ目で門の中に入れたとしても、ということで記載いたしました。
とくれば次はやはり出口です。
『再現性(互換性)が100%ではない』以上、何かしらの不備は生じているものです。
しかし、事務局側の温情で様式不備にはならなかったとしましょう。また、内容についても「まぁ読み取れなくはない」として審査してもらえるとしましょう。
「事務局側の温情」、「まぁ読み取れなくはない」、これらに共通するのは何か分かりますでしょうか。
そう、機械的ではなく『心情』ということです。
審査は機械ではなく人がするものですから、どうしても『心情』は排除できません。
(そもそも機械的な審査であれば門前払いで終了している)
この『心情』を考える時の1つのポイントになるのは、「不採択理由を教える必要がある」というものです。
「不採択理由を教える」というのは必須ではありませんし、少なくとも以前にはほとんどの補助金でこのシステムは採用されていませんでした。
しかしここ最近、多くの補助金で「不採択理由を教える」制度が導入されています。
私も官僚時代に「不採択理由を教える」を経験済みなのですが、正直言ってかなりの負担になります。
難しいのは、「じゃあそこを直せば次は絶対採択してもらえるんですね!」と相手に受け取られないように伝えなければならない、ということです。
度々になりますが、補助金は、要件さえ整えば誰でも受給出来るというものではありません。
「直せば次は絶対採択」には絶対になりません。
そのため、誤解を生まないように抽象的に伝える必要があり、これがかなりの負担になります。
上記を踏まえた上でご自身が審査官となって審査&不採択理由を伝えることを想像してみてください。
内容的に甲乙つけがたい申請案件Aと申請案件Bがあったとします。
そして予算の都合上、AかBのどちらか一方しか採択が出来ないという中で、片方は様式不備が見られレイアウトも崩れている、Bは様式もレイアウトも完璧。
内容が同じくらいであれば、ほぼ100%の方が申請案件Bを採択するのではないでしょうか。
そして、申請案件Aの不採択理由として、あれこれ細かく伝えるのではなく「様式不備」として伝えてしまいたい、という心理が芽生えないでしょうか。
これが『審査&審査結果を伝える』という出口部分でのデメリットになります。
4.おわりに
いかがでしょうか。
入り口・中・出口それぞれでMicrosoft社製のオフィスソフトを用いて申請すべき理由を書かせていただきました。
これらは、自身の環境でレイアウトを整えて印刷して紙媒体で申請すればまだ回避出来るかもしれませんが、時代の流れにより今は多くの補助金がオンライン申請に移行しています。
昔と同じ感覚では難しいというのは、役所側もしかり、我々も変化していかなければならないということなのかもしれませんね。
ちなみに、Microsoft社製のオフィスソフトをわざわざ買わずとも、当事務所では、お客様がGoogle社製のオフィスソフトで作成したものをこちらでMicrosoft社製のオフィスソフトへ転記した上で申請をお手伝いさせていただくことが可能です。
もちろんこれは当事務所が行政書士事務所だから可能な対応です。
行政書士は、申請者に代わって書類を作成することが可能です。
そして、民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法となります。
当事務所は行政書士事務所ですので、お客様がGoogle社製のオフィスソフトで作成したものをMicrosoft社製のオフィスソフトへ転記した上で申請をお手伝いさせていただくということは法に問われずに行えますのでご安心ください。
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※補正予算が成立し、各種支援制度が動き始めるため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた
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