スミ治郎で事業再構築補助金の計画書を作ってみた②~SWOT分析のお話~
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
前回記事にてSWOT分析のうちの強み(Strength)と弱み(Weakness)までを記載しましたので、今回はその続きとなる、機会(Opportunities)と脅威(Threats)の2つを書いていこうと思います。
そもそも、
機会(O)とか脅威(T)とは何ですの?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんので冒頭で少し触れさせていただくと、外的な要因のプラスの要素・マイナスの要素を書く欄になります。
と言っても伝わりづらいかと思いますので、それでは説明記事に移っていこうと思います。
それでは、今回の内容はこちら
1.機会(Opportunities)について
機会(O)の欄は、外的な要因のプラスの要素を書く欄になります。
『新規事業に対する追い風』と思っていただけたらと思います。
例えば、
- 新規事業において世の中のニーズが増している(ECの需要増など)
- 新規事業がその地域で伸びているものを取り扱う(地域特性など)
- 新規事業のターゲットとしている層が増加傾向にある(今後のニーズ増が期待できるなど)
といったことがあげられると思います。
では、スミ治郎くんが水の剣技から火の剣技へシフトチェンジするケースに置き換えたらどうなるでしょうか。
と、その前に、ここで1つお詫びをさせてください。
前回記事でも記載した通り、私は原作(マンガ)は読んでおらず、テレビと映画によるアニメ版のみというライトユーザーでございます。
そして、アニメ版ではまだ火の剣技に対する『追い風』の情報が出てきておりません。
そこで、以降は創作(想像)で書かせていただきますことをご容赦ください。
では話を戻して。
次回は「刀鍛冶の里編」らしいので、おそらく刀鍛冶の里が歩いて(もしくは走って)行ける距離にあるのでしょう。
ということで、この『地域特性』を1つ。
それから、「遊郭編」で火の剣技で切った際に鬼さんが「上手く再生が出来ない」みたいなことを言っていたので、鬼に有効イコール『今後の需要増が期待できる』という点で1つ。
この2つを組み合わせて、こんな内容で組み立てていくのはいかがでしょうか。
- 新規事業の実施場所は、新規事業(火の剣技)に適した材料(刀)の入手が容易である。
- 最近になって新規事業(火の剣技)にはこれまでに無い効果が認められ、今後の需要増が期待できる。
強み(Strength)でスミ治郎くん自身のパーソナルな強み(火の取り扱いがお手の物だったり剣技の素養が高かったり)という点と、今回の外的な『追い風』を組み合わせることで、
- スミ治郎くんが
- ここで
- 新規事業を
取り組むことこそが成功確率を高めるのです、というストーリーの構築を狙っています。
たまに「フランチャイズ事業につきしっかりとノウハウを伝授してもらえるから成功できます」という内容をお見かけします。
しかしこれでは、「別にあなたじゃなくても、誰でもいいじゃん。ライバルも成功するじゃん。」と審査員に判定されかねません。
しっかりと強み(Strength)と絡めて、「私がこれをやるからこそ成功出来るんです。外的な後押しもバッチリです。」というストーリーを目指すのが良いと思います。
2.脅威(Threats)について
脅威(T)の欄は、外的な要因のマイナスの要素を書く欄になります。
機会とは逆に『新規事業に対する向かい風』と思っていただけたらと思います。
やはり「コロナ禍による環境の変化」が真っ先にあげられます。
他に思い浮かばなければこれもアリだとは思いますが、弱み同様、『解消出来ること』を出来れば書いていきたいところです。
コロナ禍による社会環境の変化は確かに脅威なのですが、対策のしようがないことを書くことはやはり私としてはあまりオススメはしません。
例えばこんな内容で組み立てていくのはいかがでしょうか。
- 他の流派(他の剣技)が既存事業として確立されているその知名度を生かして顧客からの依頼を取っていってしまう。
新規事業はどうしても知名度が低く、そこを突かれて攻勢をかけてくる競合相手が「脅威」となります。
ですが、完全にゼロからの状態で競合と戦うのではなく、既存事業を持った上で新規事業を行うのです。
すなわち、まずは既存顧客向けに周知するという戦略が取れるため、『競合店からの攻勢』という脅威に対して十分に戦える(解消可能)となります。
なお、たまに「新規事業の需要の読みが外れる」という内容をお見かけします。
確かに脅威ではありますが、審査員から「需要調査してから申請してね」という判断が下されかねませんので私としてはオススメしません。
※弱み同様、脅威も無理して何個も何個も書く必要はありません。
3.まとめ
今回は機会(O)と脅威(T)について書いてみました。
それでは今回のまとめです。
- 機会(Opportunities)には、『新規事業に対する追い風』を書く
- 『追い風』の例としては、世の中の需要増、地域特性、今後のニーズ増が期待できる、などがあげられる
- 強み(Strength)と絡めて、「私がこれをやるからこそ成功出来るんです。外的な後押しもバッチリです。」というストーリーを目指す
- 脅威(Threats)には、『新規事業に対する向かい風』を記載する
- 『解消出来る脅威』を書くことがオススメだが、思い浮かばなければ「コロナ禍による環境の変化」もアリ
4.経営戦略としてのSWOT分析との違い
前回・今回の2回で事業再構築補助金の計画書におけるSWOT分析について、スミ治郎くんを例題にして説明してみました。
途中やや強引なところがあったかもしれませんがフィクションを題材にしているためご容赦ください。
さて、マーケティングや事業戦略を組み立てたことがある方は記事を読んでやや違和感を覚えたのではないでしょうか。
そう、順番が違うんですね。
どういうことかと言いますと、経営戦略としてのSWOT分析は、自身の強み・弱みなどを列挙していって、そこから「じゃあ次にどんな事業をしていこうか」、「弱みや脅威を考えるに、事業の見直しが必要だよね」というプランを立てていくことになります。
しかし、事業再構築補助金の場合、次に何をやりたいのかが決まっている場合が多いため、ボトムアップ(下から組み立てていく手法)ではなく、トップダウンの考え方が必要になります。
これは補助金など資金調達の時の考え方であり、経営戦略を得意とされている方はこのギャップにやや苦しむかもしれません。
そしてこれが「プロにお願いしても採択率が3割~4割」になっている要因と少しは関係があるのかもしれません。(無いかもしれません。)
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※新年度の各種支援制度が動き始めてきているため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた