スミ治郎で事業再構築補助金の計画書を作ってみた①~SWOT分析のお話~


皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。

さて、先日、『鬼滅の刃~遊郭編~』が最終回となりました。
皆さまの中にも視聴された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

私は原作(マンガ)は読んでおらず、テレビと映画によるアニメ版のみというライトユーザーなのですが、
そんな私は、主人公が水の剣技から火の剣技にシフトチェンジしようとしているシーンにびっくり。

練習してるシーンなんてあったっけ?
すごいなぁ。事業再構築補助金で言うところの『事業転換』の素養があったんだなぁ。

という職業病的な感想を抱き、そんな自分にもびっくり。
二度びっくりしたのでした。

そこで今回は、
「どうせなら水の剣技から火の剣技にシフトチェンジすることを題材にした事業再構築補助金の計画書を作ってみよう」
という思い付きから記事を作成してみました。

事業再構築補助金の計画書とはどんな風に作りこんでいくのか、どんなことに注意しながら作っていくのか、少しでも補助金申請を考えている方の参考になれば幸いです。
※ちなみに今回は計画書の中のSWOT分析になります。

それでは、今回の内容はこちら

0.前提条件

まず前提条件として、

  • 申請者は「スミ治郎」という個人事業主
  • 既存事業は水の剣技、新規事業は火の剣技
  • 剣士やら剣技は産業分類の何に当たるかよく分からないので、とりあえず今回は産業分類は考慮しない
  • アニメ中では既に火の剣技を使っているが、補助金上、新しい取り組みである必要があることから、今回の記事上では火の剣技は未修得の状態とする

としようと思います。

1.強み(Strength)について

これまでに、お客様とお話をさせていただく機会やお客様が作成された計画書の案を拝見させていただく機会を通じて、せっかく強みがあるのに『強みの書き方』のせいで少し勿体ないなと感じる場面に遭遇します。

例えば、スミ治郎くんの『強み』として何が思い浮かぶでしょうか。

  • 嗅覚がすごい
  • 頑丈(特に頭部はかなりの石頭)
  • 家族思い&仲間思い

といったことが思い浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かにこれらはスミ治郎くん固有の『強み』と言えます。
しかし、この強みは『火の剣技へのシフトチェンジが上手くいく理由』になり得るでしょうか。

もっとストレートに言えば、
「火の剣技へのシフトチェンジ成功しそうでしょ? ね、お金(補助金)出してよ」
と言えているか、ということになります。
上記の内容では資金を出す側の心を惹きつけるのはちょっと厳しそうですよね。

コツとしては、少し発想を変えて、『強み』に意識を置くのではなく『新規事業が上手くいく理由』に重きを置いて組み立ててみるのがいいと思います。

例えばこんな内容で組み立てていくのはいかがでしょうか。

  • 剣技の基礎は修得済み(国内最高レベルの師(元柱)の下で約2年間みっちり修行していた)
  • 修行時、まだ見習いであったにも係わらず大岩を切断した程の素養を有している(多くの者が切れずに師のもとを去った)
  • 実家は炭の生成・販売業を行っており、スミ治郎自身においても幼少期から火の取り扱いに慣れている
  • 火に比べて水との接点が少なかったにも係わらず、水の剣技で既に多くの実績を有している
  • 助け合う仲間がおり、修得が行いやすい環境が整っている

実際に申請書として組み立てる際には「火の剣技に素養があるなら最初から水じゃなくて火で事業を開始すれば良かったのでは?」という穴を潰しておく必要がありますが、ここで穴を潰し始めると記事が冗長となり、この記事で伝えたいことがボヤけてしまうので粗めにしてあることをご容赦ください。

ここで伝えたいことは、新規事業が上手くいく理由に重きを置くとそれがそのまま『強み』になり、ただ思い付くままに強みを書くよりも新規事業に対する説得力が増す、ということになります。

2.弱み(Weakness)について

弱みで書くべきポイントは、『新規事業の実施によってその弱みが解消すること』を考えると良いかと思います。

例えば、『スミ治郎くんは優し過ぎるため人質を取られると弱い』という記載はどうでしょうか。
確かに弱みかもしれませんが、これは新規事業で解消出来ないですよね。

たまに「首都直下地震が来ると事業が出来ない」、「津波浸水地域に立地している」という記述をお見かけすることがございます。

確かに事業の安定継続に不安があるという意味では弱みかもしれませんが、かと言ってどうしようもないですよね。
記載内容としてはあまりオススメしません。

例えばこんな内容で組み立てていくのはいかがでしょうか。

  • 既存事業(水の剣技)は国内最高レベルの企業(柱)の言動の影響が非常に大きいため、リスクコントロールが難しい。
  • 水の剣技は基本的な技が多く扱いがさほど難しくないことから多くの剣士に使われており、すなわち、競合が多いため、スミ治郎自身の知名度が埋没している。

    ※柱や剣士は作中では仲間だが、ここでは「競合相手」として設定

1点目は、同じ流派である冨岡義勇先パイは何と言っても柱ですから、「お前、同じ流派である以上、勝手なことして俺の顔に泥を塗るようなことするんじゃねぇぞ」なんて言われたら、現状打破に向けて『水の剣技のオリジナル新技開発』とか、尖ったことをするのは難しそうです。
しかし、火の剣技というもう1つ選択肢を持っておけばリスクヘッジとなります。

※もう少しイメージが湧きやすいように現実世界を例にしますと、大手ゼネコンさんからよく受注を受ける下請業者さんをイメージしていただければと思います。
資本関係(親子関係)があるわけではないものの、下請業者は大手ゼネコンさんの経営方針に影響を受けやすいと言えます。
「コロナ禍だからしばらく事業を抑えよう」という経営方針が取られると、下請業者さんも必然的に業務が減ることとなります。
これを『リスク』として弱みに書くわけです。
大手ゼネコンさんとのパイプは武器にもなりますが、リスクにもなり得るため、新規業務で手持ちカードを増やすことでリスクが解消される、というストーリーとします。

2点目は、「作中で、天狗のお面の人とか狐のお面の男の子とか女の子とか、水の使い手って多くない?」と思って軽く調べてみたら『基礎的な流派で使い手が多い』ということだったので、書いてみました。
基礎的で扱いやすいということは参入障壁が低いため自身も参入しやすいというメリットがある一方、競合相手が多くなるため、実績(知名度)を上げづらいという側面があります。
作中では、妹の関係から知名度は高そうですが、もし妹がいなかったらどうでしょうか。埋没していた可能性はありそうですよね。
しかし、水の剣技と火の剣技、この相反する流派を使いこなす剣士というのは競合と差別化を図ることが出来るため、弱みの解消へと繋がります。

『弱み』も、実際に申請書として作る場合は企業目的などと絡めて、企業目的達成のためにはこの弱みが邪魔で解消の必要があるというこが言えないか、等も考慮するのですが、上記の『強み』の時と同様、粗めにしておりますことをご容赦ください。

※なお、『弱み』は無理して何個も何個も書く必要はありません。

3.まとめ

SWOT分析中、まだ機会(Opportunities)と脅威(Threats)の2つが残っておりますが、記事が長くなってきてしまったので今回はここまでとさせていただきます。

続きはまた別の機会とさせていただくこととして、それでは今回のまとめです。

  • 強み(Strength)には、『新規事業が上手くいく理由』に重きを置いて組み立ててみる
  • 弱み(Weakness)には、『新規事業の実施によってその弱みが解消すること』を記載する
  • 上記を言い換えれば、新規事業と関係の無い強み、新規事業で解消出来ない弱み、であれば記載しないことをオススメ。

今回は以上になります。

ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※新年度の各種支援制度が動き始めてきているため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。

皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた