役所の資料はなぜ読みづらい?~独特な文章のお話~
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
さて、新年度に向けて新しい支援制度の情報が国・自治体から出始めておりますが、「役所の資料(文章)って読みづらい!」って思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なぜ役所の文章は読みづらいのでしょうか。
狭い世界でしか働いたことが無くて世間とズレているから?
果たして本当にそうなのでしょうか。
ということで、今回は「役所の資料はなぜ読みづらい?~独特な文章のお話~」と題した記事を作成しました。
それでは、今回の内容はこちら
1.あの独特の言い回しの正体は?(もしかしてわざと?)
「役所の資料(文章)って読みづらい!」って思ったことがある方はおそらく「あれ、もしかしてわざとやってる?」と疑問を持ったこともあるのではないでしょうか。
先に結論から言ってしまいます。
正確に伝わるように丁寧に書いた結果
が実は正体です。
は? 正確? 丁寧?
いやいやいや、というかむしろ分かりづらいって。
その感想、分かります。
では解説いたします。
以下は1月末からスタートした事業復活支援金の概要資料に記載されている文章の抜粋です。
こちらを例にお話をいたします。
2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者
この文章で分かりづらくしている要素が『任意の同じ月』ではないかと思います。
簡単に言えば「比較対象と同じ月なら何月でもいいよ」という内容なのですが、仮に普段の言葉使いと同じように書いてしまった場合、何が起きてしまうでしょうか。
例えば「何月でもいいよ」の部分が誤って「何月を選んでもいいんだ(何月選んでも対象になるんだ)」と伝わってしまい、申請者が給付を受けられないという悲しい結果が起こり得てしまいます。
このように、普段使いの言葉には時として全く異なる意味となってしまう性格の単語が少なくありません。
給付対象者なはずなのに給付を受けられなかったということは役所側も望んでおりませんので、このようなことが起こらないように、なるべく複数の意味を持たない単語を使って文章を作るようにしています。
しかし、「伝えたいことが誤解なく伝わるように」という文章を作ったら普段の会話では使わないような単語が並んでしまい、結果として『誤解の有無の前にそもそも伝わらない』という本末転倒なことがしばしば起きてしまっているのです。
2.読み解くコツは?
わざとやっているのではないことは分かったけど、やっぱり読みづらいものは読みづらいよ。。。
読み解くコツとかは無いの?
こんな風に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これについては、実は即効性のある攻略法はありません。
分からない箇所は補助金の担当事務局に質問するのが一番早くて確実です。
ただ、これだと話が終わってしまいますし、毎回毎回事務局に質問するのも労力だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、少し題材と異なりますが、『役所の文章に早く慣れるコツ』を記載いたします。
3.役所の文章に早く慣れるコツ
3-1 印刷をして読む
役所の資料のおよそほとんどが印刷して読むことを前提に作成されています。
そのため、例えば、「注1」という注記の意味が次のページだったり次の次のページに書いてある、ということがよくあります。
何ページか前の記述が出てくる、何ページか先に書いてある、という資料を読む場合、読みやすさはペーパーレスの時代にあってもやはり紙に軍配が上がると思っています。
3-2 辞書をひく
上記でも記載した通り、役所はなるべく複数の意味を持たない単語を使って文章を作るようにしていますが、とは言え、そんなに代替の単語がポンポン出てくるわけではありません。
ではどうしているのか。
そう、辞書をひいて文章を作成しているのです。
※もちろん私も国語辞典を常備していましたし、更に言えば、類語辞典や公用語例集なんかも手元に置いて資料を作成していました。
ですので、読み手側である我々も「なんか普段の会話では使わない言い回しだな」と思った部分に対して辞書をひいて読むと役所の文章に早く慣れるようになります。
3-3 その上で事務局に質問をする
上記3-1から3-2までの面倒なプロセスを経た上で、改めて事務局に対して「ここの部分なんですけど」と質問をして回答をもらいます。
これは言わば答え合わせみたいなものです。
答え合わせをすることで『役所の文章に早く慣れる』ことに大きく前進出来ます。
と、我ながら書いていて思いましたが、
何という手間。。。
時間は有限ですので、そんな面倒なことをせず、当事務所までお問合せいただければ、当事務所が対応いたします。
4.まとめ
それではまとめです。
- 独特の文章の正体は「なるべく複数の意味を持たない単語を使って文章を作っている」から。
- 即効性のある攻略法は実はない。ただ、『役所の文章に早く慣れるコツ』はある。
- とは言え、手間なので(時間がもったいないので)、事務局に質問をするか、士業にお願いすることをオススメ。
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※新年度の各種支援制度が動き始めてきているため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた