事業再構築補助金の難易度を考察~再構築補助金の採択率等のお話~


皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。

公式HPにおいて「申請の受付は、2月中旬に開始予定です。」と記載されている事業再構築補助金の第5回公募。
2月もそろそろ中旬に差し掛かるタイミングということで、今回は改めて、これまでの事業再構築補助金の採択率について振り返ってみようと思います。
※2022年2月9日時点で公開されている情報を基に執筆しております。

それでは、今回の内容はこちら

1.第1回~第3回の採択率(全件数)

現在までに採択結果が出ているのは第3回目までになります。(第4回公募分は現在審査中)
そこで、公表されているデータを取りまとめて採択率を算出し、一覧にまとめたのが下表になります。

※公開情報を基に当事務所にて表を作成

申請件数はいずれの回も2万件超え。
採択率は、手探り状態だったことが伺える第1回が3割台となっていますが、第2回・第3回はいずれも44%台に上昇。
第1回~3回までの通算の採択率は41.6%となっております。
ただし、この結果にはちょっとした注意点があります。

上記の表は「通常枠」だけではなく、「緊急事態宣言特別枠」や「最低賃金枠」といった、特定の条件を満たすことで加点される(採択率が上がる)申請も含んでいます。

例えば、下表は公式HPから抜粋したものになりますが、「最低賃金枠」を見てみると469件の申請に対して375件の採択となっており、採択率は80%となっております。

※公式HPの「事業再構築補助金第3回公募の結果について」より抜粋

2.通常枠のみの採択率

全件数には高採択率の枠が含まれていることから、当事務所では「通常枠」のみの結果を取りまとめてみることとしました。

※公開情報を基に当事務所にて表を作成

結果は上記の表の通り、採択率はなんと3割台にとどまるということが明らかになりました。
しかも、事業再構築補助金は「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」ことが必須要件の1つとなっていますので、言い換えると、プロが協力しても4割いくか・いかないかという高難度な補助金であると言えそうです。

3.申請不備も相当数ある

採択件数(採択率)にどうしても目が向いてしまいますが、当事務所としてはもう1つ見逃してはならない点があると思っています。
それは、かなりの数の申請不備が毎回出ていることもこの補助金の特徴の1つであるということです。

回を重ねるごとに減少してきているとは言え、第1回~3回までの不備件数を平均すると、1回あたり2,416件にも及びます。

なぜこれだけ散見されるのでしょうか。

考えられる理由としては、

  • 申請のために用意すべき書類の数が多いこと
  • 必要となる書類などを説明している公式資料が膨大であり読み込むのが大変であること

が考えられます。

なるべく初期投資を抑えたいというお気持ちは非常に理解出来ますが、認定支援機関に対してオプション費用が発生するとしても、計画書作成のみならず申請サポートもご活用された方が安全なのかなと思っております。

4.まとめ

これまでの内容をまとめると以下になります。

  • 申請枠を区別しない『全体』の採択率は、手探り状態だったことが伺える第1回が3割台、第2回・第3回はいずれも44%台に上昇。なお、第1回~3回までの通算の採択率は41.6%。
  • 「最低賃金枠」といった特別枠を除いた「通常枠」の採択率は実に3割台。「認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する」ことが必須要件の1つとなっていることから、プロが協力しても4割いくか・いかないかという高難度な補助金であると言える。
  • 減少傾向にあるとは言え、申請不備(書類不備)件数が毎回かなり発生している。

5.当事務所としての所感

これまでの採択結果などを分析してみて、元霞が関職員から見た事業再構築補助金に対する感想は以下になります。

  • 採択率の低さや申請不備件数の多さから、単なるバラマキ政策ではなく本気で審査をしていることが見て取れます。
  • 全員がプロに頼んだ上でのこの採択率であることや申請不備件数の多さから、認定経営革新等支援機関選びが重要であることが見て取れます。
  • プロ任せにするのではなく、申請者自身も当事者意識を持つことが必要であると考えます。(プロも万能ではない)

今回の記事は以上になります。

ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※新年度の各種支援制度が動き始めてきているため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。

皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた