東京都版ものづくり補助金?~新製品・新技術開発助成のお話~

東京都版ものづくり補助金?
~新製品・新技術開発助成のお話~


皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。

今回は東京都の補助金である『令和4年度 新製品・新技術開発助成事業』について書かせていただきました。
短時間で読めるようにあまり長文記事は書かないように心がけているのですが、今回は少々文字数が多めとなっております。ご容赦ください。
※以下は公式資料から当事務所が独自でまとめたものになります。申請する際はご自身でも公式資料をご覧いただきますようお願いします。

公益財団法人 東京都中小企業振興公社
令和4年度 新製品・新技術開発助成事業 特設ページ
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/shinsei/shinseihin.html

それでは、今回の内容はこちら

1.令和4年度 新製品・新技術開発助成事業の概要と特徴

 1-1 制度概要

東京都と(公財)東京都中小企業振興公社によって、実用化の見込みのある新製品・新技術の自社開発を都内の中小企業者等に対して、試作品開発費など研究開発経費の一部を助成する事業となっております。

何かに似ているような気がしませんか?

そう、国(経済産業省)が実施している通称「ものづくり補助金」の東京都verとも言える内容となっています。
※ちなみに、ものづくり補助金の事業概要には「試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもの」と記載されています。

このように似ている両支援金ですが、東京都の方は上限額が1500万円なのに対して国の一般型の上限は1000万円、東京都の方は助成率が1/2なのに対して国の方は小規模事業者だと2/3となる等、どちらの方がお得かというのは一概には言えません。

ただ、2022年2月4日現在では、東京都の方は特設ページが設けられ、募集開始が3月14日からである旨の告知がある一方で、国の方はまだ新情報がなく、どのような制度になるのかは分かりません。
東京都のこの支援制度もとても魅力的な制度であるため、申請について十分に検討する価値はあると思っています。

 1-2 制度の特徴

この制度の主な特徴は以下になります。

  • 助成額は最大1500万円
    1500万円という金額は国の支援制度であるものづくり補助金一般型(1000万円)を上回る額となっております。さすがは東京都といったところでしょうか。
  • 事業対象期間が最長1年9カ月
    元公務員としては、これだけ年度をガッツリまたぐ支援制度というのは正直驚きです。
  • 創業予定者も申請可能
    申請時点では「創業予定」でOKです。ただし、事業開始までに登記簿謄本または開業届出の写しの提出が必要になります。
  • 人件費も助成の対象
    国の支援制度(ものづくり補助金)では人件費は対象外ですので国を上回る特徴になります。ただし、最大500万円まで等一部制限が付きます。)

 1-3 対象となる研究開発

この制度で対象となるのは以下の3分野になります。

  • 新製品・新技術の研究開発
    新しい機能を付加した製品や新しい製造技術に関するハード面の研究開発で、試作品の設計、製作、試験評価及び改良など
    例:次世代の照明機器の試作開発、高機能性塗料の試作開発
  • 新たなソフトウェアの研究開発
    システム設計等ソフト面の新たな研究開発で、データ処理装置・情報処理プログラム開発及び改良など
    例:無人店舗運営システムの構築、ブロックチェーン技術を活用した配車アプリの試作開発
    ※なお、デジタル家電、ロボット、モビリティ分野などハードとソフトの両面にまたがる研究開発も対象になります。
  • 新たなサービス創出のための研究開発
    新たなサービスの提供による生産性の向上、高付加価値化を目的として、サービス関連業等が外部の技術を活用して行う研究開発など
    ※新たなサービスとは「一定の新規性があり相当程度市場で普及していないサービス」のことをいう、とのこと。

2.申請対象者・申請受付期間・事業期間について

 2-1 申請対象者

  • 都内の本店又は支店で実質的な事業活動を行っている中小企業者 (会社及び個人事業者)等
  • 都内で創業を具体的に計画している者

 2-2 申請受付期間

令和4年3月14日(月)~4月5日(火)17時00分

 2-3 事業期間(対象経費となる期間)

令和4年9月1日~令和6年5月31日(最長1年9カ月)
※9月1日以降の経費が対象となる点に注意

3.事業の対象となる経費について

対象となるのは以下の6費目になります。
なお、生産・量産を目的とするものは対象外となる点に注意が必要です。

  • 原材料・副資材費
    試作品の開発に直接使用する原料・材料を購入する費用
    例:鋼材、機械部品、化学薬品など
  • 機械装置・工具器具費
    試作品を製作するために必要な機械装置などの費用
    例:試作金型、計測装置、ソフトウェア開発用サーバなど
  • 委託・外注費
    自社で実施できない研究開発の一部を外部ひ依頼する費用
    例:一部の委託開発(試験)、大学との共同研究など
  • 産業財産権出願・導入費
    開発する製品の特許・実用新案などの、産業財産権を出願する費用、実施許諾を受けるライセンス料などの費用
  • 専門家指導費
    大学教授や専門家など外部から技術指導を受ける費用
  • 直接人件費
    ソフトウェアの研究開発に係る全ての工程、ソフトウェア以外の研究開発における設計工程
    ・最大で500万円
    ・従事時間は1人つき1日8時間、年間1,800時間が上限

4.注意点

  • 申請受付期間が短い
    上記の通り、申請受付期間が3月14日(月)~4月5日(火)17時までと、1か月ありませんので、2月からしっかりとした準備をしておく必要があります。
  • 審査が複数回ある
    1次審査が書類審査、2次審査が面接と、本採択まで2回の審査を受ける必要があります。
  • 以下の2点が前提であること
    ・研究開発の主要な部分は自社開発であること
    ・開発した製品の実用化・事業化を目的としていること
  • 目標設定について考慮が必要
    目標が達成されなかった場合はそれまでにかかった経費は支払われません。一方で、低すぎる目標では、それはそれで審査が通らないので、しっかりとした目標設定を立てる必要があります。

5.よくある質問(公式資料より抜粋)

最後に、公式資料の「よくある質問」をいくつか抜粋して終わりにしたいと思います。

他の公的機関の助成金と同一テーマで重複して申請することは可能か。

他の公的機関の助成金(ものづくり補助金等)とは、併願申請は可能です。
しかし、同一テーマで他の公的機関と二重に助成金を受け取ることはできないため、両方採択された場合は、一方を辞退していただきます。

創業予定者は、申請時点の所在地は都外でも問題ないか。

都内で創業を具体的に計画されていれば申請可能です。

機械装置・工具器具費、委託費の見積もりは1社分のみでよいか。

1件100万円(税抜)以上の機械装置・工具器具費、委託費であれば、申請時に見積もり2社分の提出が必要になります。「1社しか生産していない」、「販売先が1社に限られている」といった業界・商慣習等に起因した、やむを得ない理由がある場合のみ、1社分でも構いません。
ただし、その理由を申請書に記載してください。「過去に取引実績があるため」等の理由では認められませんのでご注意ください。

調達予定である物品等の仕様が決まってない場合は、「未定」と記載すればよいか。

「未定」とは記載せず、申請時点で想定される仕様を記入してください。

いかがでしたでしょうか。

私自身、これまでに(公務員時代に)多くの補助金を担当したり、もしくは支援制度を立ち上げたり、ということをしてきましたが、そんな私から見てもとても魅力的な支援制度だと思います。

ご相談などございましたら当事務所までご連絡ください。
※新年度の各種支援制度が動き始めてきているため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。

皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた