駆け出し事業者必見! 第12回公募の持続化補助金を解説~2023小規模事業者持続化補助金のお話し~
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としており、行政書士の中でも数少ない認定支援機関として経済産業省から認定されている事務所となります。
新年度開始まで残り1ヶ月と少し。
色々な補助金がいよいよ本格的に動き出しそうな気配となっております。
前回記事でも冒頭で触れましたが、中小企業者(特に小規模事業者)にオススメの補助金である『小規模事業者持続化補助金』ですが、2月20日(月)締め切りの第11回をもって現行制度としては最終回となりました。
ただ、あくまで最終回となったのはあくまで「現行制度」であって、インボイスへの移行者にインセンティブを与える等の制度変更を施した上で次回以降も募集はある旨のアナウンスがなされております。(下図のとおり)
そこで今回は、補助金の中でも特に人気の高い『小規模事業者持続化補助金』の2023年版について、その変更内容を解説していきたいと思います。
※なお、公式サイトにて「第12回公募受付は準備中です」との表記があるので、いったん終了とはなるものの、『第●回』という”番号”は引き継ぐみたいです。
小規模事業者持続化補助金は多くの方が利用しやすいオススメ補助金である一方で、申請者が多い(すなわち競争相手が多い)補助金となっています。
こちらの記事を読むことで他社さんより先に準備に取り掛かることができ、差を付けることが出来るものと思います。
そしてそのほんのちょっとのスタートの差が、合否判定という結果になって返ってくると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
今回の記事は、申請を考えられている事業者さんはもちろん、事業者の申請支援を行う士業者にとっても有益な内容になっていると思います。
それではいきましょう
目次
本題に入る前にいくつか前提を置かせていただきます。
と言うのも、公式情報がちょくちょく更新されることから、いつしかここに書いてある内容と公式の内容がズレてしまう可能性が大いにあるためです。
今回の記事は以下を前提に記載しております。
- 2023年2月25日現在で公表されている情報を基に作成
- 関東経済産業局における「施策説明動画」を参考に作成
- 中小企業庁HPの「中小企業庁関係 令和3年度・令和4年度予算等についてのチラシ」として掲載されている『持続化補助金 (令和4年12月19日)』を参考に作成
- 2023年2月25日時点の商工会議所のHP
そしてもう1つ大事な前提として、
上記資料を基に記事を書いていこうと思うのですが、私のもとには「役所の文章は分かりづらい」という声をちょくちょく頂きます。
分かりづらい文章を要約したところで結局堅苦しい文章になってしまい、分かりづらいまま、、
役所の文章を少しでも分かりやすく翻訳するのも元官僚としての役割かな、とも思ったので、今回は少しでも柔らかくなるように、キャラクターも使って記事執筆をしてみようと思います。
不慣れにつき、至らぬ点もあろうかと思いますが、寛大な心で応援していただければ嬉しいです。
それでは、めたんちゃん、今回はよろしくね
はいはい、しっかり勉強していきますわよ
1.そもそも小規模事業者持続化補助金ってどんな支援制度?
小規模事業者持続化補助金ってそもそもどんな制度なの?
公式サイトでは以下のように書かれています。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブックから引用
よく分からないわね
一応公式サイトの「ガイドブック(最初にこちらをご確認ください)」の最初の項目『持続化補助金とは?』の引用なんですけどね、、
とは言え、この補助金は対象に出来る経費が非常に広く、ひと言で言い表しづらいというのは確かにあるんです。
あえてやや砕けた表現をするならば、
『販路開拓などをすれば概ね1年以内に売上げアップしそう』と事務局に認められると、集客・店舗認知度向上・販路開拓などの経費に対して補助金が出る
という感じになるのですが、、
まぁ正直、活用事例を見てもらうのが一番イメージ付きやすいと思いますので次をご覧ください。
他にも、以下のような事例でも認められます。
- 新商品を陳列するための棚の購入
- 新たな販促用チラシの作成、送付
- 新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告等)
- 新たな販促品の調達、配布
- 国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
- 新商品の開発
- 新商品の開発にあたって必要な図書の購入
- 新たな販促用チラシのポスティング
- 国内外での商品PRイベントの実施
- 新商品開発にともなう成分分析の依頼
- 店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)
※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可
ずいぶん沢山あるのね
そうですね。
『色んな費用が対象になる』ということがお分かりいただけたかなと思います。
そして、これだけ補助金として認められる費用の範囲が広いということもあり、この補助金は非常に人気が高いです。
第1回から第10回までの総申請数は、なんと12万件超(一般型のみ)となっています。
ちなみに、第11回分はまだ未公表ですが、これまでは1回あたり1万数千件という感じでした。
ただ、ラストだから殺到、というのも十分考えられますので、最終的には総数14万件くらいじゃないかなと思います。
14万件!?
これってかなりの数じゃないかしら?
そうですね。
採択率は概ね6割とそこまで低くはないのですが、申請数(絶対数)が多いので、4割不採択となるとそれなりの数になってしまいますね、、
それだけに、この多くのライバル達よりちょっとでも先に行くことが非常に重要になります。
この記事が参考になれば嬉しいです☆
2.2023持続化補助金について①(補助率・補助上限額)
補助対象経費の範囲が非常に広いということが分かったところで、では実際にいくらいただけるのかを見ていきましょう
皆さんが最も興味があるところね
現行制度ではこうなっています。
これが、2023持続化補助金ではこうなる予定とアナウンスされています。
どこが変更点になるの?
現行制度の「インボイス枠」というのが無くなり、その代わりに『インボイス特例』という上乗せ制度になります。
この「インボイス枠」というのは、
免税事業者からインボイス発行事業に転換する事業者(インボイス転換事業者)を対象に、全ての枠で一律に50万円の補助上限を上乗せ
という制度になります。
この変更は申請者に何のメリットがあるの?
この補助金は、申請者はいずれかの枠一つでのみ申請が可能ですので、例えば、
インボイス発行事業者への転換と賃金の引き上げを同時に満たしていた
という方でも、従来は、インボイス枠か賃金引き上げ枠のどちらかを選択しなくてはなりませんでした。
しかし、新制度によって、賃金引き上げ枠で申請しインボイス特例を同時に受けることが出来るようになりました。
なるほど、それは嬉しいわね
ちなみに、従来のインボイス枠で採択された事業者は『インボイス特例』の対象外となってしまいますのでご注意ください。
他に変更点はないの?
現時点ではこれだけですね
3.2023持続化補助金について②(申請タイプ)
では次に申請タイプを見ていきましょう
通常枠とか特別枠の話ね
下の図の通り、大きく分けて『通常枠』と『特別枠』の2つに分かれています。
そして『特別枠』は4つに分かれています。
現行制度のインボイス枠以外の枠は継続される予定となっています。
では1つずついきましょう
3-1 通常枠
その名の通り、基本となる申請タイプで、補助金の対象者(次章の4.で説明します)であれば申請が可能です。
多くの方が対象となる一方で、補助金の上限額も最も低い50万円となっています。
「遅かれ早かれインボイス事業者へは移行するつもり」という事業者さんであれば、この機に『インボイス特例』を使って50万円上乗せ(最大100万円)を狙うのも一案ね
3-2 賃金引上枠
ここからは特別枠になります。
1つめは賃金引上枠になります。
事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
が申請可能です。
「事業場内」ってどういう意味かしら?
事業場内とは、事業を実施する店舗等のことになります。
すなわち、
古民家をカフェとして営業するために厨房を増設する場合は、申請企業の全従業員ということではなく、その古民家カフェにおける従業員の最低賃金を、その地域で定められている最低賃金よりも+30円高くする必要がある
ということになります。
もう既に地域の最低賃金を30円以上上回っている場合はどうなるの?
その場合は、現在支給している事業場内最低賃金より+30円以上にする必要があります。
同様に、地域別最低賃金が1,000円で、現在支給している事業場内最低賃金が1,010 円の場合、20円アップして1,030円にすれば良いのではなく、1,040円以上にする必要があります。
①地域別最低賃金より+30円
②現在支給している事業場内最低賃金より+30円
2つのうちのどっちか高い方をクリアする必要があるのね
3-3 卒業枠
特別枠の2つめは卒業枠になります。
小規模事業者として定義する従業員数を超えて規模を拡大する事業者
が申請可能なのですが、簡単に言えば、規模を大きくしてこの補助金の対象者から卒業してしまう予定の方が対象です。
「小規模事業者として定義する従業員数」って何かしら?
次章の4.で説明予定なのですが、簡単に言えば下の図になります。
従業員の増員を予定しているのであれば卒業枠を使うのも一案ね
3-4 後継者支援枠
どんどんいきますよ
次は特別枠の3つめ、後継者支援枠です。
名前から推測すると、「2代目」みたいな後継者を応援する枠かしらね
いえ、違います
!!
将来的に事業承継を行う予定があり、新たな取組を行う後継者候補として、「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者
が申請可能となっています。
そう
「事業承継を行う予定があり~」
なので、後継者を応援するのではなく、事業承継を応援する枠になります。
ややこしいわよ!
3-5 創業枠
ラストは創業枠です。
実は創業を手助けする国の補助金というのはあまり多くありません。
そのため、この創業枠というのは国の補助金の中では貴重な存在と言えます。
そしてその貴重さ故か、申請要件もこれまでとは少し異なっています。
産業競争力強化法に基づき、自治体と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した「特定創業支援等事業の支援」を過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者
が申請可能となっています。
何だか難しいわね
例えば、市区町村が創業を考えている人向けにセミナーなんかをやっているのですが、セミナーの中に「特定創業支援等事業」と銘打って行われるものがあります。
これを受講して、「特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書」を自治体に発行してもらうと創業枠の申請資格を取得したことになります。
創業枠で申請するにはセミナーの受講など事前準備が必要なのね
そうですね
「特定創業支援等事業」としてどんな取り組みをしているのかは市区町村によって異なるので、気になる方はお近くの市区町村に聞いてみるのが良いでしょう
4.2023持続化補助金について③(補助金の対象者・補助対象となる経費)
では次にどんな人が申請出来るのか、どんな経費が対象になるのかを解説していきます
いくら「使えそうだ」と思っても申請出来なきゃ始まらないものね
4-1 補助金の対象者
『小規模事業者持続化補助金』という名称の通り、申請が出来るのは小規模事業者となっています。
「3-3 卒業枠」でも少し触れたわね
そうですね
それでは改めて
更に付け加えるとこうなります。
特定非営利活動法人のところに※印が付いているのは何かしら?
特定非営利活動法人の場合は、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 法人税法上の収益事業を行っていること
※収益事業を行っていても免税されていて確定申告書の提出ができない場合は補助対象外 - 認定特定非営利活動法人でないこと
4-2 補助対象となる経費
どんな事業が補助金の対象になるか、というのは「1.そもそも小規模事業者持続化補助金ってどんな支援制度?」で説明しました。
ここでは認められる費目について説明していきます。
じゃん
た、沢山あるわね、、
正直、これを覚えるのは大変なので、お近くの商工会議所(または商工会)に相談しましょう。
親切に教えてくれますよ☆
※もちろん、当事務所でもご相談は承っておりますのでぜひお気軽にご連絡ください
ただ、個人的には『対象外』については頭の片隅に入れておいて欲しいなと思います。
補助金を受けようと思っていた経費が実は対象外だった、、
というケースはちょくちょく耳にします。
対象外となる例(どれも”あるある”です)
- 汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)は補助対象外となります。
- 経費の支払いは「銀行振込」となります。特に10万円を超える支払い(一括、分割問わず)については、現金支払いの場合、補助対象外となります。
- 相殺や小切手、商品券等による支払いは、補助対象外となります。
- クレジットカード払い等で、口座から引き落とされた日が、補助事業実施期限を過ぎている支払いについては、補助対象外となります。
- 100万円(税込)を超える支払いは、2社以上の見積もりが必要です。中古品の購入(50万円(税抜き)未満のものであること)については、金額に関わらず、すべて、2社以上からの見積が必須となります。見積書が無い場合は補助対象外となります。
- オークションによる購入は補助対象外となります。
- 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費は補助対象外となります。
ちゃんと意識してないとどれもやっちゃいそうね
そうですね
しかもこれら支出の話は補助金が見事採択された後の話なので、ついつい浮かれてやってしまいがちなので、是非とも気を付けてください。
5.2023持続化補助金について④(注意すべきポイント)
この画像は何なの?
あ、いやまぁ、気を付けてっていうメッセージを、、
ということで、最後は「注意すべきポイント」をいくつか紹介したいと思います。
5-1 ウェブサイト関連費
先ほどの「4-2 補助対象となる経費」の図に、「③ウェブサイト関連費」という費目があります。
コロナ以降、EC販売市場が大きく伸びていますので、ECサイト等の構築に係る経費が認められるというのがこの補助金の魅力の1つでもあるのですが、
- ウェブサイト関連費は、補助金交付申請額及び交付すべき補助金の額の確定時に認められる補助金総額の1/4を上限とします。
- ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。
というシバリが存在します
結構残念なシバリね、、
そして、ご相談いただく際にちょくちょく見受けられる誤解が「補助金総額の1/4を上限」という部分についてです。
上限額100万円の枠に申請するのでウェブサイト関連費が25万円まで申請出来る
と誤解されている方が多いのですが、上限額100万円の枠に申請したとしても、80万円しか申請しないのであれば、ウェブサイト関連費は20万円までしか認められません。
4分の1というのは『枠』の上限額に対してではなく、『申請額』に対してですので注意が必要です。
5-2 申請前に商工会議所(または商工会)から書類を発行してもらう必要がある
この補助金の最も特徴的と言っていいかもしれないポイントとして、
申請者が単独で申請することが出来ない
という点があげられます。
どういうことなの?
書類を作ったら事前に商工会議所(または商工会)に資料を見てもらって、「様式4」という書類を発行してもらう必要があります。
まぁ簡単に言えば、商工会議所(または商工会)の審査済み証みたいなものなのですが、申請の際にはこれを添付する必要があります。
そして、補助金の申請日よりも前に商工会議所(または商工会)への持ち込み期限が設定されていますので(だいたい1週間前)、これを失念していると「様式4」を取得できず、結果、申請出来ない、という事態に陥りますので気を付けてください。
5-3 複数回採択も認められているけどクールタイムが必要
この補助金は1回受けたら終わりではなく、複数回受けることが可能です。
それは嬉しいわね
ただ、連続で受けることは出来ず、ある程度間隔を空ける必要があります。
現行制度では、前回事業が終わってから10か月空けることとされています。
第12回受付以降もこれを踏襲するのかは現在のところ明言されてはいませんが、おそらく引き続き数か月空ける必要があるという運用はされるだろうなと思っています。
5-4 一般社団法人は対象外
近年、一般社団法人を設立して事業に取り組んでいるという方も多いかと思います。
ですが、小規模事業者持続化補助金については一般社団法人をはじめいくつかの法人は申請が出来ない団体ですので注意が必要です。
どんな団体が対象外なの?
以下の団体が対象外として明記されています。
6.まとめ
今回は第12回小規模事業者持続化補助金について、制度の変更点も紹介しつつ、全体像を解説いたしました。
- そもそも小規模事業者持続化補助金ってどんな支援制度なのか
- 補助率・補助上限額はどうなっているのか
- どんな申請タイプがあるのか、それぞれの要件はどうなっているのか
- どんな者が補助金の対象者となるのか、補助対象となる経費はどんな費用があるのか
- 注意すべきポイントは何か
について書かせていただきました。
まだ第11回が終わったばかりで、正式な詳細情報が出揃っていない中での解説なので、ひょっとしたら更に制度変更が加わる可能性も当然にあり得ます。
その時は改めて解説記事を書かせていただくつもりです。
もしもっと色々と知りたい、という場合はお気軽にお問い合わせください☆
※民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法です。行政書士以外の書類作成代行の広報にはお気を付けください。
ということで、
いかがでしたでしょうか。
めたんちゃんを登場させることで堅苦しい言い回しが少しはマイルドになって伝わりやすくなっていたら嬉しい限りです。
長文になったものの、これでも省略した部分もあります。
隅々まで書こうとすると更に長文になりますし、それこそ混乱のもとになりかねないことから省略していますので、詳しい内容はお近くの商工会議所(または商工会)か、もしくは当事務所までお問合せください。
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※補正予算が成立し、各種支援制度が動き始めるため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた
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