ずんだもんと学ぶ『新』事業再構築補助金~第10次申請以降の再構築補助金のお話し~
皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としており、行政書士の中でも数少ない認定支援機関として経済産業省から認定されている事務所となります。
2月20日(月)をもって第11回小規模事業者持続化補助金の募集が締め切りとなりました。
現行制度での申請機会が今回で最後(※)ということもあり、今回、多くの事業者様から申請のご相談をいただき、また、お手伝いをさせていただきました。
皆さま、お疲れさまでした。
また、ありがとうございました。
※インボイスへの移行者にインセンティブを与える等の制度変更を施した上で次回以降も募集はあるようですが、現行制度としては今回が最後である旨のアナウンスが出ています。
さて今回は、そんな持続化補助金同様に制度の見直しが発表されている、こちらも人気の支援制度である「事業再構築補助金」について、その変更内容を解説していきたいと思います。
申請を考えられている事業者さんはもちろん、事業者の申請支援を行う士業者にとっても有益な内容になっていると思います。
それではいきましょう
目次
本題に入る前にいくつか前提を置かせていただきます。
と言うのも、公式情報がちょくちょく更新されることから、いつしかここに書いてある内容と公式の内容がズレてしまう可能性が大いにあるためです。
今回の記事は以下を前提に記載しております。
- 2023年2月22日現在で公表されている情報を基に作成
- 事業再構築補助金令和4年度第2次補正予算の概要(ver1.3)を参考に作成
- 事業再構築補助金令和4年度第2次補正予算【サプライチェーン強靱化枠】の概要(ver1.0)を参考に作成
- 関東経済産業局における「施策説明動画」を参考に作成
そしてもう1つ大事な前提として、
上記資料を基に記事を書いていこうと思うのですが、私のもとには「役所の文章は分かりづらい」という声をちょくちょく頂きます。
分かりづらい文章を淡々と堅苦しい文章に仕上げたのでは結局分かりづらいまま、、
役所の文章を少しでも分かりやすく翻訳するのも元官僚としての役割かな、とも思ったので、今回は少しでも柔らかくなるように、キャラクターも使って記事執筆をしてみようと思います。
不慣れにつき、至らぬ点もあろうかと思いますが、初の試みなので寛大に応援していただければ嬉しいです。
それでは、ずんだもん君、今回はよろしくね
了解なのだ。しっかり勉強するのだ!
1.そもそも事業再構築補助金ってどんな支援制度?
事業再構築補助金ってそもそもどんな制度なのだ?
公式サイトでは以下のように書かれています。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
公式サイトから引用
全く分からないのだ、、
公式サイトの「事業再構築補助金とは?」でこれですからね、、
分かりづらいという評判も納得の難易度です。
新型コロナウイルス感染症で大きな影響を受けた居酒屋業界がイメージが付きやすいので、居酒屋を例に説明しますね。
休業要請や飲み会の中止などもあって居酒屋への来店客数&売上高は大幅な減少となりました。
うぅ、居酒屋で鍛えた調理の腕はあるのに、、
あ、そうだ!
居酒屋で鍛えたスキルを活かしてお弁当販売をやろう!
あ、あと、ネットで受注してデリバリーもやろう!!
このような、新たな事業に挑戦するに際して必要となる設備などの導入費が補助されるという制度が事業再構築補助金です。
なるほどなのだ!
ちなみに、飲食業(居酒屋)がお弁当っていう、また飲食関係の事業をやるのも「新たな事業への挑戦」になるのだ?
はい、なります。
というよりむしろ、既存事業での強みや経験を活かした新規事業を求められるので、180度違う分野への進出よりも、ちょっとズラした事業を新規に取り組む方がオススメです。
なるべく勝つ自信がある戦をしましょう、と言い換えることが出来るかもしれませんね。
2.第10次以降の変更点について①(申請枠の創設・拡充)
ではここから本題の、第10次以降について解説していこうと思います。
2-1 成長枠の創設
まず1点目は、「成長枠の創設」です。
創設と言っても、完全新規というものではなく、従来の「通常枠」の後継枠になります。
現在の「通常枠」と違って売上高減少要件が撤廃されたことが大きなポイントとなります。
要件緩和! やったなのだ☆
喜ばしいことばかりではありません。
実は公式資料で、
『対象となる業種・業態は、事務局で指定します。』
とアナウンスされています。
それってつまり、、
申請できない業種の創設ってことなのだ。。
一応、
『データを提出し、認められた場合には、対象となり得ます。』
という記載もあるにはあるのですが、どうなるかは、、
ちなみに、この成長枠には、要件をクリアすると補助率の引き上げというインセンティブが用意されているのですが、それについては3.で記載します。
2-2 グリーン成長枠の拡充
2点目は、「グリーン成長枠の拡充」です。
また成長枠なのだ、、
ま、まぁそう言わずに。。
現行制度でもグリーン成長枠はあるのですが、ハードルがなかなかに厳しいということで『エントリー』という類型が創設され、
- エントリー
- スタンダード
の2類型に分かれることとなりました。
もちろん、エントリーの方が補助上限額が抑えめになっています。
また、このグリーン成長枠にも補助率の引き上げというインセンティブが用意されています。
それについては成長枠とセットで3.で記載します。
グリーン成長枠には、えーと、、
エントリーとスタンダードとインセンティブと、、
国としても環境面に力を入れていきたいということなのかもしれませんが、
ちょっと複雑ですね、、
2-3 産業構造転換枠の創設
3点目は、「産業構造転換枠の創設」です。
ちなみにこれは完全新作、新しい枠になります。
補助率が成長枠よりも高い3分の2に引き上げられているのが特徴なのですが、申請要件が少し特殊になっています。
その特殊な要件とやらを言ってみるのだ!
なんで偉そうなんですか、、
要件が2つあって、どちらかに該当すれば良い
となっているのですが、
① 過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること
※業界団体が要件を満たすことを示すこと(3月上旬受付開始予定)
申請するためには所属する業界団体に頑張ってもらう必要があるのだ、、
そういうことですね。
そして2つめ
② 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
※要件を満たす地域であることについて、自治体が資料を作成し、証明すること(3月上旬受付開始予定)
じ、自治体を動かす必要があるのだ、、
いち中小企業にはムリなのだ!
企業と自治体との距離が近い、少し規模が小さい自治体とかならあり得るのかな?
大きい自治体を動かすのは難儀しそうですね。。
2-4 サプライチェーン強靭化枠の創設
4点目は、「サプライチェーン強靭化枠の創設」です。
こちらも完全新作、新しい枠になります。
枠つくり過ぎなのだ、、
特徴だけ選んで記載します。
要件としては、国内回帰の取組であることが必要とされています。
国内回帰のイメージとしては、
製造事業者(申請者)がこれまで海外生産拠点で製造していた製品を、国内で製造するための自動化設備を新たに導入する場合などを想定しているみたいです。
※海外工場を閉鎖することまでは求められていない。
海外からの国内回帰ってお金かかりそうなのだ!
なので、補助上限額は他の枠をぶっちぎりで上回る
最大5億円!
となっています。
ご、5おく、、
他にも、条件はあるものの複数回採択もサプライチェーン強靭化枠では認められているなどの特徴があります。
3.第10次以降の変更点について②(成長枠・グリーン成長枠のインセンティブ)
2-1で紹介した成長枠と、2-2で紹介したグリーン成長枠には一定の要件を満たすと補助率の引き上げを受けられる『卒業促進枠』と、補助金額の上乗せを受けられる『大規模賃金引上促進枠』という2つの上乗せ制度が用意されています。
枠の上に上乗せ枠、、
枠オン枠
私もこれには理解するのにいささか時間がかかりました。
なので、ざっくりいきます。
※ちなみに両枠の併用は不可
3-1 卒業促進枠
補助事業の終了後3~5年で中小企業から中堅企業へ成長するなど、今の企業規模から卒業すると補助率の引き上げがあります。
達成出来なかったらどうなるのだ?
「要件達成後、実績報告を提出いただき、その確認をもって補助金を支払います。」
と書いてあるので、まずは成長枠で補助金をもらって、その3~5年後に(達成出来たら)上乗せ分をもらえる、という制度みたいですね。
3-2 大規模賃金引上促進枠
補助事業の終了後3~5年で、
- 事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げ
- 従業員数を年率平均1.5%以上増員
の両方とも満たすと、補助率の引き上げに加えて上限3,000万円が追加されます。
達成出来なかったらどうなるのだ?
卒業促進枠と同じで、
「要件達成後、実績報告を提出いただき、その確認をもって補助金を支払います。」
と書いてあるので、まずは成長枠で補助金をもらって、その3~5年後に(達成出来たら)上乗せ分をもらえる、という制度みたいですね。
3-3 1年で給与水準の引き上げを達成した場合
上の2つは枠オン枠の話しでしたが、成長枠・グリーン成長枠で、補助事業期間内(要は1年以内)に次の2つを両方とも達成した場合は補助率が引き上がるインセンティブも用意されています。
- 給与支給総額を年平均6%増加
- 事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げ
3~5年後だったり1年以内だったり
条件分岐多すぎなのだ、、
と、とりあえず、従業員の給料をアップさせるといいことがあると覚えておいて、あとはお近くの認定支援機関に相談しましょう。
4.第10次以降の変更点について③(その他)
ラスト、その他です。
- 社会福祉法人の補助対象範囲拡大
- 労働者協同組合を補助対象者に追加
が行われることとなっています。
ラスト雑なのだ、、
5.まとめ
最後に、おさらいも兼ねて新制度の全体像を貼っておきます。
左の2つ、「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」の説明がなかったのだ!
左の2つは現行制度からの継続部分なんです。
今回は制度の変更点にフォーカスを当てた内容にしているので省略しました。
もしもっと色々と知りたい、という場合はお気軽にお問い合わせください☆
※民間企業など行政書士以外が申請者に代わって書類を作成することは違法です。行政書士以外の書類作成代行の広報にはお気を付けください。
ということで、
いかがでしたでしょうか。
ずんだもん君を登場させることで堅苦しい言い回しが少しはマイルドになって伝わりやすくなっていたら嬉しい限りです。
長文になったものの、これでも省略した部分もあります。
隅々まで書こうとすると更に長文になりますし、それこそ混乱のもとになりかねないことから省略していますので、詳しい内容はお近くの認定支援機関か、もしくは当事務所までお問合せください。
今回は以上になります。
ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
※補正予算が成立し、各種支援制度が動き始めるため、当事務所の業務状況次第ではお受け出来ない事態となることも考えられます。ご興味がありましたらお早めにご一報ください。
皆さまの持続的な事業運営を願っております。
それではまた
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