規制改革要望はビジネスチャンスの宝~官庁の資料が読めるとチャンスが広がるお話~


皆さまこんにちは。
ビジネス支援行政書士 ライズ法務事務所の米山です。
当事務所では補助金申請サポートなどを主業務としております。

約1か月前に「6月は本気出す!」と宣言し(笑)、一応、有言実行すべく仕事に取り組んでいたところ、事務所ホームページの更新が疎かになってしまっておりました。。
一応、Facebookはちょくちょく更新しています(補助金に関する情報発信をしています)ので、よかったらフォローしていただければ幸いです。

さて、今回は久しぶりの更新ということで、ややリハビリ的な意味も込めて、ここ最近書いていた『●●5選』とかではなく、少し趣向を変えて、
霞が関が公表している資料だけどそんなの読んでる人いるの?
という資料にスポットを当ててみました。

そんな地味めの(?)資料ながら、ビジネスチャンスが埋まっているかもしれないので今回記事を書いた次第です。

ということで、前置きはこれくらいにして、
それではいきましょう

1.規制改革要望とは

今回紹介する資料はこちら
規制改革要望に対する所管省庁からの回答
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/h_index.html

知っている方も多いとは思いますが、まず、規制改革要望とは何かを説明しますと、
世の中には様々な「あれはやってはダメ」、「これはダメ」というような、行動に制限を課しているルールがあります。

もちろん、基本的には必要があるから制限を設けているわけですが、中には、
制限を設けた当時は必要だったけど、今の時代には合わないよね
という内容もあります。

なので、時代に合わない規制は当然に見直さなければならないのですが、一方で、霞が関・永田町で仕事をしている人達が世の中全てのルールを逐一使っているワケではありませんので、どのルールが時代に合っていないのか、どのように不便なのか等を把握しきれているワケではありません。

そのため、広く一般の皆さんから、時代に合わない・支障が生じている規制について意見を受付けています。

これが規制改革要望になります。
そう、実は誰でも要望を出すことが出来るのです。
そして当然、自分で要望を出すことも可能です。

2.規制改革要望がビジネスチャンスとは?

規制改革要望がどういうものか分かったところで、次に、どうして規制改革要望がビジネスチャンスになり得るのかを説明したいと思います。

これまで規制がかかっていた分野というのは当然ながら誰も手出しが出来ていない『未開拓な分野』ということになります。

一般的に、『未開拓な分野』は競合が少なく突き抜けられる可能性がある一方で、ニーズが無いから未開拓である、すなわちビジネス的にはうま味が無い分野、という、チャンスとリスクが紙一重である場合が多いです。

しかしながら、自分以外の人が出した規制改革要望については、その分野には要望(ニーズ)がある分野であると言えます。

競合が少なく(というよりほぼ居ない)、かつ、ニーズが見込める未開拓分野

というのはかなり魅力的と言えるのではないでしょうか。

3.規制改革要望の分野を狙うに当たってのデメリット

規制改革要望として要望が出されている分野が魅力的であることは分かった。
でも世の中そんな美味い話はないよね? デメリットもあるよね?

というご意見が聞こえてきそうです。

デメリット、当然あります。

最も大きなデメリットは、『要望イコール規制解除』ではないという点です。

当然と言えば当然ですが、要望を出したら規制が解除されるというわけではありません。
担当省庁から「その規制は依然として必要」と判断され、引き続き規制という網がかかったままになる場合もあります。
いえ、むしろ、そのケースの方が圧倒的に多いです。

すなわち、

  • 自分で規制改革要望を出す
  • 規制が解除されると信じて製品開発を行う
  • 担当省庁から「解除不可」という判断がなされる
  • 製品開発費用が丸々損失に。。

ということが当然にあり得るわけです。

一方で、解除を知ってからのスタートの場合、「解除された」というニュースを掴んだ時には既に他社より出遅れてしまっている場合があります。

『要望イコール規制解除』ではないため、スタートを切るタイミングが難しいというのが最大のデメリットと考えます。

4.規制改革要望に対する所管省庁からの回答の読み方

規制改革要望からビジネスチャンスに繋げるのは結局無理なのでしょうか。
実は規制改革要望に対して担当省庁がどのようなアクションをするのか、それを推測する上でヒントとなる資料があります。

それが冒頭で記載した
規制改革要望に対する所管省庁からの回答
になります。

その名の通り、広く一般から寄せられた要望に対して所管省庁からの回答が載っています。
ではどのような情報が載っているのでしょうか。

情報量が多いので少し加工したものになりますが、どのような内容になっているのか、一例を紹介いたします。

この画像では、ソーラーカーポートを設置する場合について規制緩和を求めている内容になっています。
ここで紹介をしたいのは要望の内容そのものではなく、「対応の分類」という右から2番目の項目になります。

実はこの「対応の分類」という項目、答え方にルールが存在しています。

要望に対して前向きな回答から順に

  • 対応
  • 検討に着手
  • 検討を予定
  • 対応不可

の4種類と、そもそも要望そのものが適切ではない(門前払いに近い)という趣旨の

  • 現行制度下で対応可能
  • 事実誤認
  • その他

の3種類。
計7種類になります。

このうち、最も前向きな回答である『対応』は、要望が出る前から担当省庁が検討をスタートしていてほぼ規制を緩和する方向となっている際に使います。

そのため、実質的な最上位は『検討に着手』になります。

この規制改革要望、出された要望の制度を所管する省庁はテンション低めで回答するのが基本マインドとなっております。
(私も官僚時代はそうでした。。すみません。。。)

では、実質的な最上位である『検討に着手』はどれくらいあるのでしょうか。

「令和3年度 回答」というPDFを見ますと、全部で790件の要望が寄せられており、そのうち『検討に着手』は46件となっています。

すなわち、46/790件なので割合にすると5.8%になります。

1割にも満たないかなり狭き門なわけですが、ただ、裏を返せば、前向きな回答内容は規制解除の可能性があることを示唆しているとも言えます。

これを知っていると知らないとではスタートダッシュに差が付くと言っても過言ではないのではないでしょうか。

5.リスクを減らすために補助金を活用しよう

スタートを切るタイミングが難しいというデメリットに対して、リスク低減のヒントとなる「資料」を紹介いたしました。

もう1つ、「スタートを切るタイミングが難しい」に付随して、『製品開発費用が丸々損失になってしまう可能性がある』というリスクがあります。

このリスクを解消する手段の1つとして『製品開発に関する補助金を活用する』ということがあげられます。

申請期限などもあるため、ここでは補助金名を出しての個別具体的な紹介は省略させていただきますが、基本、各省庁に製品開発用の補助金が存在すると考えていただいて結構です。

例えば、農業製品の開発であれば農林水産省、エネルギー関係であれば経済産業省、等々です。
さらに、都道府県や市区町村といった、地方自治体でも補助金を用意している場合があります。

公的資料と公的支援(補助金)を上手く組み合わせることで、
リスクを抑えながら、かつ、競合が少なく(というよりほぼ居ない)、かつ、ニーズが見込める未開拓分野でスタートダッシュが切れる
ということが可能になると思いますので色々と検討してみてください。

今回は以上になります。

ご相談やご不明点などございましたら当事務所までご連絡ください。
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皆さまの持続的な事業運営を願っております。
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